ライアン・レイノルズ、“魂がピカチュウに乗り移る”壮絶な体験…「名探偵ピカチュウ」を語る

2019年5月2日 11:00

インタビューに応じたライアン・レイノルズ
インタビューに応じたライアン・レイノルズ

[映画.com ニュース] 世界的人気を誇る日本発のゲーム「ポケットモンスター」を、シリーズで初めて実写映画化した「名探偵ピカチュウ」が、5月3日に日本で先行公開される。米ハリウッドで実写化ということにも驚かされたが、何よりも衝撃的だったのは、ピカチュウのかわいさだった。

かわいいは正義である。シワシワなピカチュウ(略してシワチュウ)が登場するトレーラーが公開されるや、世界中のファンが一瞬にしてその魅力に引き込まれていった。しかし、発される声はジョークを飛ばしまくるおっさん……。なんとも奥深いキャラクターだ。

そんな魅力的な生き物に息吹を注ぎ込んだのは、「デッドプール」などで知られるライアン・レイノルズ。声だけでなくモーションキャプチャーで演じた彼が、来日時にインタビューに応じた。

――「名探偵ピカチュウ」は日本のポケモン直撃世代にはたまらない、素晴らしい作品でした。

レイノルズ(以下省略):悲しくつらいニュースが多く流れるなかで、この映画がこのタイミングで公開されるのはすごくいいこと。美しい物語で、世界中で共感してもらえるテーマが描かれていると思う。脚本を読む時、いつも考えることがある。それは、例えば「ポケモン」などの“注目される”要素をごっそり取り除いた時、ちゃんとストーリーとして成り立っているかどうか。今回の脚本には強く惹かれたんだ。愛や喪失、息子と父親の関係、家族や希望が描かれていた。そこに「ポケモン」の要素が加わっていることが、さらに素晴らしい映画にしているんだと思う。また、最も惹かれたのはミステリーの部分だった。ピカチュウが解こうとしている謎と、ティム(ジャスティス・スミス)が解こうとしている謎が融合し、2人が冒険へ出ていく。ストーリーがどこへ向かうのか、脚本を読んでいても全く予想できなかったよ。

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――ピカチュウ役の声優を引き受けた経緯は、どのようなものでしたか。

変わったプロセスだった。(製作陣はオファー前に)CGIのピカチュウにいろんな俳優の声を当てはめていって、比較していったらしいんだ。僕の声を気に入ってもらった結果、オファーがきた。知らずに知らずのうちに全自動でオーディションを受けていたことになるね(笑)。(編集部注:ピカチュウ役声優にはヒュー・ジャックマンマーク・ウォールバーグドウェイン・ジョンソンらの噂もあった)

――ピカチュウを演じるため、ピカチュウになりきって実生活を送っていたと噂が立っていましたが。

そうだね……。いや、嘘だ(笑)。プロモーションで言ったジョークだよ。とはいえ僕自身、ピカチュウに似ている部分があると思う。僕が選ばれたのには、そういうことでもある。「自由にアドリブをきかせて演じてほしい」と言われたわけだし、僕とピカチュウの共通点は多いと思う。

――ご自身がピカチュウのモーションキャプチャーを担当していますが、仕上がりはどのように感じましたか。

ピカチュウの表情は、すべてフェイシャルキャプチャーでとらえたもの。これまでも、モーションキャプチャーは一度だけやったことがある。「デッドプール2」でジャガーノートを演じたときだね。それ以来だけど、技術はものすごく進歩していた。今回のフェイシャルキャプチャーは、本当に些細な動きもとらえてピカチュウに反映しているんだ。だから出来上がりは最初、怖くて見られなかった。自分の魂がピカチュウのなかに入ってしまったようで、目を背けてしまい、脳が拒否しているようだった(笑)。それくらい精密だったんだ。表情だけでなく、動きもすべてキャプチャーされている。走ったり、手足の動きも全部だ。

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――自分の魂がピカチュウに入ってしまったよう……、すごい体験ですね。

そうなんだよ。脳が受け入れられなかった。妻(ブレイク・ライブリー)も、自分がピカチュウに恋をしたという事態を受け入れられていなかった(笑)。とても奇妙な経験だった。

――撮影はどのような状況で行われていたのでしょうか。

ジャスティスやキャサリン(・ニュートン)の撮影の仕方とは全く違った。スタジオでカメラに囲まれて、モーションキャプチャーで撮っていただけ。ただ撮影開始後3日間くらいは現場に行って、ジャスティスと息を合わせてリズムを作るため、セリフの読みあわせはしていた。それ以降はずっと別々の道(笑)。今回のツアーで初めて再会したくらいで、僕にとってもこういう撮影は初めてだった。劇中で、ティムに初めて会ったピカチュウが「寂しかったよ!」というシーンがあるけど、あれは僕の本音。本物の感情がこもっていたよ。

――今回の物語にはどんなオマージュを入れていますか。

自由になんでもセリフを言えたから、アドリブをとにかく入れたんだ。いろんなポップカルチャーの要素を入れたけど、そのうち80%はカットされた(笑)。「ポケモン」ワールドに忠実であることは、厳しくジャッジされていたね。

――逆に20%残ってるんですね(笑)。

汚い言葉を使ったりしたから、そこはカットされた(笑)。いつか、何かの機会で世に出るかもしれない。

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――お子さんの反応はどうでしたか。

4歳の娘には、自分がピカチュウを演じていることはまだ言っていないんだ。ただ予告編を見たり、ピカチュウにはどっぷりハマっていて、「パパの声に似ているね」と言ってきたこともある。そのときは「そう? どうかな」とはぐらかした。公開されたら、娘や娘の友だちと一緒に見に行って、驚かせる予定だよ。

――ピカチュウがティムを「もしここに父親がいたら……」と慰めるシーンがあります。個人的に非常に好きなシーンなんですが、どのように思いを乗せて演じていましたか。

脚本に惹かれた理由のひとつは、父と子を描いている点。ティムが父親を探し、ピカチュウが助ける。多くの人がそうかもしれないけど、僕自身、父親との関係性があまりよくなかった。複雑だったんだ。ピカチュウは、ティムにとって父代わりにもなった。だから、あのシーンはとても感情移入していたよ。この物語全体が描く、「フィールド・オブ・ドリームス」のような父と息子の特別な関係を念頭に演じていた。

――早くも続編製作の話も出ていますね。

いくつかアイデアはとってある。一番気に入っているアイデアのひとつは、1作目で使ってほしかったもの……、でも今は、まあ、どうなるかはわからないけど。

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