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Netflix、スピルバーグ監督による“アカデミー賞締め出し”受け声明発表 アカデミー会員の反応は?

2019年3月6日 22:16

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スティーブン・スピルバーグ監督
スティーブン・スピルバーグ監督
Photo by Chance Yeh/FilmMagic

[映画.com ニュース] 第91回アカデミー賞でNetflix映画「ROMA ローマ」(アルフォンソ・キュアロン監督)が3冠に輝いたことを不服とするスティーブン・スピルバーグ監督が、アカデミー賞からNetflix作品を締め出すべくルール変更を求めていることに対し、Netflixが応戦の構えをみせた。

スピルバーグ監督はかねて、Netflix作品はアカデミー賞にノミネートされる資格がないとの考えを公言してきた。同賞を主催する映画芸術科学アカデミーの役員という立場を利用し、4月に行われる役員会でアカデミー賞からNetflix作品を締め出すための新ルール制定に向けた提案を行う意向を表明している。

これを受け、公式Twitterアカウント上で「私たちは映画を愛しています」と高らかに宣言したNetflixは、「1. 映画館がない町に住む人々や、鑑賞料金が高すぎて映画館に行くのは無理という人々でも、映画を楽しむことができる。2. 世界同時配信によって、どこに居ようが誰もが同じ日に映画を見ることができる。3. より多くのフィルムメーカーに、彼らの作品・アートを共有する機会を与えられる」という3つの利点を掲げたうえで、「これらは相互排他的なものではありません」と締めくくった。

名指しは避けたものの、ストリーミング作品と劇場公開作品との違いに対する強いこだわりから、Netflix作品はアカデミー賞に値しないと主張するスピルバーグ監督への反論であるのは間違いないと、米Deadlineは指摘している。

映画芸術科学アカデミーの会員には、劇場公開と同時に世界配信を実施するストリーミングサービス各社の作品をアカデミー賞にノミネートするのは公正さを欠くとして、スピルバーグ監督に賛同する者も多い。だが一方で、メジャースタジオ全盛期に第一線で活躍していたがゆえに、Netflixをはじめとするストリーミングサービスが、今日の映画製作において極めて重要な役割を果たしているという事実を受け入れられないスピルバーグを「時代遅れ」と呼ぶ声もある。

米バラエティによる意見聴取に応じたあるアカデミー会員が、「Netflixは多くのフィルムメーカーに映画製作と配給の機会を与えてくれる。資金調達や配給元探しに苦労することなどないスピルバーグ監督は、このご時世にインディペンデント映画を作るのがどれだけ大変か分かっていない」と真っ向から批判。「Paradise Lost 3: Purgatory(原題)」(2011)でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされたジョー・バーリンジャー監督も、「一会員として、アカデミーが時代の流れと足並みを揃える努力をすることは、非常に大事だと思っている。娘たちの世代にとって、ストリーミングで映画を見るのはごく一般的なことになってきているわけだしね。コミック映画やシリーズ物の大作ばかりに重点を置くハリウッドの風潮が変わらない限り、大人向けのインディペンデント映画は絶滅の危機に瀕してしまうだろうというのも、懸念のひとつだ。そんななか、映画界に活力をもたらしてくれるNetflixのような会社は大いに歓迎すべきだし、ほんの数館で短期間しか劇場公開されなかったとしても、ノミネートのチャンスを与えるべきだと思う」とNetflixへの支持を表明している。

一方で3月3日(現地時間)、ベン・アフレック主演のNetflixオリジナル映画「トリプル・フロンティア」のニューヨークプレミアに出席したプロデューサーのニール・ドッドソンが、「今すぐ決断を下さなければならないほど切迫した事態でもないと思うし、アカデミーが勇み足を踏まないよう願うよ」と中立の意見を述べたのと同様に、女優のジュリアン・ムーアも最新主演作「Gloria Bell(原題)」のプレミアで、「この件については、2つの側面があると思うの。常に変化し続ける映画界の潮流に合わせて、私たちも適応するよう努めるべきであると同時に、映画は映画館で見るもの、という美しい伝統が失われつつあることを危惧するのもわかるし、できることなら衝突は避けたいわよね」とお茶を濁した。

Netflix製作のドキュメンタリー映画「13th 憲法修正第13条」でメガホンをとったエバ・デュバーネイ監督が、「親愛なるアカデミーへ。役員会には一般会員が参加できないということを踏まえ、スピルバーグ監督が行おうとしている提案に反対するフィルムメーカーの出席を許可、もしくは声明を読み上げるなど、何らかの措置を講じてください」とTwitterを通じて訴えている通り、最終的な決断は約50人からなる役員会に委ねられることになる。アカデミー会員を含めた業界内から絶大な尊敬と信頼を集めるスピルバーグ監督の提案によって、アカデミーが大幅なルール変更に踏み切るか否か、役員会の結果に注目が集まる。

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