ヒュー・ジャックマンはなぜ、“失脚した男”を選んだのか?「僕は退屈な男」発言ににじむ役者論
2019年2月1日 18:00

[映画.com ニュース] 当選確実と言われていた米大統領候補が、スキャンダルによって政界から葬られた衝撃的な実話の“裏側”を描く「フロントランナー」が、2月1日から公開中。本作を引っ提げて1月下旬に来日したヒュー・ジャックマンは、どのような思いで作品に取り組んだのか。「いい人」のイメージが強いジャックマンが、自身のイメージと真逆の役と格闘した日々を振り返った。
映画で描かれるのは、1988年の米国大統領選挙。ゲイリー・ハート上院議員(ジャックマン)は、46歳の若さで最有力候補=フロントランナーに躍り出る。ジョン・F・ケネディの再来として大衆に愛され、当選は確実視されていたが、“ある疑惑”が一斉に報じられると事態は急速に変化していく。
「オハヨウゴザイマス」と朗らかな笑みを浮かべて登場したジャックマンは、イメージそのままのジェントルマン。しかし、近年の出演作は「プリズナーズ」「チャッピー」「LOGAN ローガン」「グレイテスト・ショーマン」など、二面性のある役柄が多かった。ジャックマンに作品選びの“嗜好”を聞くと「僕って、本当は退屈な男なんだ」とやや驚きの答えが返ってきた。「結婚して、子供が2人いて、仕事が大好きなね。だからこそ、自分と同じような人物は演じたくない。今回みたいに今まで聞いたことのないようなストーリーにひかれるし、この映画は重要なことを示唆していると思う。僕は、『これはできるかどうかわからないぞ』というような“恐怖”を感じたいんだ」。
そんなジャックマンにとって、「マイレージ、マイライフ」でアカデミー賞候補に選出され、「ゴーストバスターズ」の新作が発表された実力派監督ジェイソン・ライトマンとの初タッグは、まさにうってつけだった。劇中の大きな見せ場となる記者会見のシーンでは当日にセリフを聞くなど、サプライズの連続だったという。「監督はリアルさを求めていたから、(サプライズは)いっぱいあったよ。いきなり誰かが会場に入ってきて、僕の耳元でささやき、それに対応しなくちゃいけないこともあったり、急にコーヒーが運ばれてきたりね。さらに、監督がわざとエアコンの電源を切って、みんなが汗をかき出したり……。カメラが15台くらい用意されていて、『僕を撮っているのはどれ?』って聞いたんだけど、『そんなの関係ないから気にしないでくれ』と言われてね。あのシーンでは、誰からどういう質問が来るのかも分かっていなかったんだ」。
俳優としては他に類を見ないような“逆境”だったが、ジャックマンはこれをチャンスととらえた。それを可能にしたのが、役者魂を感じさせる膨大なリサーチだ。関係者によれば、ジャックマンは撮影中も常に大量の資料を持ち歩き、ハートを深く理解しようと努めていたという。「ハートは、すごい先見の明を持っていた。スティーブ・ジョブズと昼食会を、あの有名なガレージでしたんだよ。アメリカの上院議員だった男が、わざわざへんぴなところに行って、ガレージで汗だくの若者と会った。会合の後ワシントンに戻った彼は、みんなに『教育システムを変えよう』と言ったんだよ」。
自身も学生時代にはジャーナリズムを勉強し、「ほかの俳優よりは僕は(ジャーナリストの)みなさんに同情的で、理解していると思うよ」とほほ笑む。「芝居というのは、色々な物語を語り、世の中を見るもの。片やジャーナリズムは、真実を露わにして“世界”にする。両方とも、世の中を知るための手段だと思う」。
そんなジャックマンは、本作を引き合いに「今重要なのは、マーケティングとブランディング」と政治論も披露。「自分のブランドを理解することが大切だ。SNSが、自分の政策や思想より大事になってきているよね。(政治家への興味は? と聞かれて)それは否。ただ有名だからというのは、政治家になる理由にはならないよ。経済とか保険問題、税金、世界情勢、自分の国が10年後にどうなっているか、どうやって指導していくか、政治のシステムを僕はちゃんとわかっていないからね。ただ、今はすべての要素を知っていても皆が耳を傾けず、100万人のフォロワーがいる人にはなびく世の中だ。それはすごく悲しいね」と複雑な表情を浮かべていた。
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