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「ハード・コア」山田孝之&佐藤健が生み出す独特な“重厚感” 山下敦弘監督「映画にメリハリが出た」

2018年11月28日 15:30

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「ハード・コア」について語り合った (左から)山田孝之、山下敦弘監督、佐藤健
「ハード・コア」について語り合った (左から)山田孝之、山下敦弘監督、佐藤健

[映画.com ニュース] 作・狩撫麻礼氏、画・いましろたかし氏による漫画を映画化した「ハード・コア」(公開中)に出演する山田孝之佐藤健、メガホンをとった山下敦弘監督が、映画.comのインタビューに応じた。兄弟役の山田と佐藤に対して、山下監督が「よく見ると全然似ていない」と打ち明けると、同時に笑いだした2人。見た目こそ似ていないが、落ち着いた雰囲気、演技に対する真摯な姿勢は重なって見える。

本作は、不器用な性格で世間になじめず生きる権藤右近(山田)と、世の中に希望を見い出せない商社マン・左近(佐藤)の兄弟が、右近と友人・牛山(荒川良々)の発掘したロボット「ロボオ」によって、思わぬ事態に巻き込まれるさまを描く。

山田と山下監督といえば、テレビドラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」、ドキュメンタリー番組「山田孝之のカンヌ映画祭」でもタッグを組んできた。山下監督は「企画を立ち上げたのは、5年くらい前です。原作はすごく面白いのに、絶版になっていたので知っている人がそんなにいない。たまたま山田くんが知っていて、しかも好きだって聞いたときは奇跡だと思いましたね」と振り返る。

テレビでもネット配信でもなく“映画”を選んだ理由について、山田は「役者としては演じることに変わりはないですが、映画だとお客さんのあり方が全然違います。そういった意味では『ハード・コア』は映画が一番合っている。劇場まで足を運んで時間を割いてもらって、暗い映画館だと集中力が高まるので、そこでこの“カオス”を見せられると、より頭が混乱してくると思います(笑)」といたずらっぽく笑う。

確かに、“カオス”という言葉がよく似合う作品だ。山田と山下監督は、インタビュー部屋に置かれた本作の資料を見ながら、「ここに佐藤健が写っているのはおかしい」「救世主だ」と違和感を口にしたが、山田から直接出演交渉されたという佐藤は「孝之くんと兄弟役というのが、まず一番に出演したかった理由です」と即決し、「その後に台本を読んだら面白いし、原作にも胸を打たれましたし、左近という役自体にも魅力を感じました。キャラクターのなかでは一番お客さんが共感できるようなことを言っているけれど、その根底にはほかの登場人物と同じようなハードボイルドを持っている。ただ良い人じゃないというところが、左近の好きなところです」と、山田と山下監督と同じように作品にひかれていった。

兄弟を演じた2人について、山下監督は「眼力がある」と共通点を指摘し、「左近役に健くんって浮かんだときには、なるほどなって思いました。よく見ると、全然似ていないんだけれど」と打ち明ける。佐藤が「でも、劇中で見るとなんだか似ている」と言う通り、スクリーンのなかではしっかり兄弟に見える説得力があり、山田は「右近と左近の関係は、俺と健の普段の関係に近いところがある。現場でも普段でも、テンションが一緒なんです」と明かす。

バクマン。」「何者」でも共演経験があり、山下監督は「2人の息があっているからですかね。2人のシーンを撮っているとき、『あぁ、映画撮っているな』って感じがしたんですよ。会話だけのシーンでもすごい映画を撮っている気になる。脚本の向井康介も『2人が芝居をすると重厚感が出る』って言っていて、僕はそれがすごく良かったと思っています。映画にメリハリが出て、2人だからこその独特な重さは映画館で見るとすごくいい」と分析する。

終始穏やかな山下監督だが、過去には「山田孝之のカンヌ映画際」で山田と意見がぶつかったような場面も放送されたことが話題になった。撮影を振り返った佐藤が、山下監督について「僕らが迷っていたら、一緒に考えて探ってくれる方。決めつけた答えを投げかけてくるのではなくて、寄り添ってくれたのがうれしかった」と感謝を伝えると、よく知った仲の山田も「一緒に模索しながら作っていけるような、信用できる監督ですね」と同意してから、「やっと」と一言付け加えて笑い合った。

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