注目女優・木竜麻生、“母”原日出子からの手紙に号泣「こんなに幸せなことはない」
2018年11月17日 16:10
[映画.com ニュース] 第31回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門作品賞に輝いた「鈴木家の嘘」の公開記念舞台挨拶が11月17日、東京・シネスイッチ銀座で行われ、出演した岸部一徳、原日出子、木竜麻生、加瀬亮、岸本加世子、大森南朋、メガホンをとった野尻克己監督がおそろいのTシャツ姿で出席した。
16日に全国22館で封切られた今作。長男の死によって巻き起こる家族の混乱と再生を、ユーモアを交えあたたかく描いた。鈴木家の雰囲気は和やかそのもので、父・幸男役の岸部は「『こうやったら家族、親子に見えるかな』とかは一切考えなかった。どんな家庭にも問題があって、改めて自分の家庭を見てみると、何かを感じる……。そういう環境で撮影が始まった。鈴木家として自然といたことが、チームワークに見えたかも」と振り返り、母・悠子役の原も「なんの努力もいらなかったかな。いい雰囲気になるのに、特別なことはいらなかった。それはみんなの人柄があってこそで、私も抵抗なく鈴木家の母になれました」と愉快そうに笑った。
長女・富美役に扮した木竜は、同映画祭の若き才能を称える“東京ジェムストーン賞”を受賞。撮影の日々に「みなさんが包み込むみたいに接してくださったので、現場中に緊張したことはあまりなくて。引っ張って、助けていただきました」と、感謝をにじませながら思いを馳せる。新体操を披露するシーンもあったが、「もともと小・中学校でやっていて、撮影前に4カ月ほど練習のお時間を頂きました。大変でしたが、自分の好きなことを改めてやらせてもらって、幸せでした」と充実の面持ちだ。
そんな木竜に、原からのサプライズの手紙が読み上げられた。「あなたは、まさに宝石の原石。どんな輝きを放つ女優になるのか、楽しみです。あなたは形ではなく、心で芝居できる素敵な人。お芝居は虚偽ではあるけど、人間が人間を演じる上で魂と心がなくてはならないと思っています。それをしっかり感じ取って、自然体で演じるあなたは本当に素晴らしい。経験を得るごとに心の引き出しが満たされ、ますます素敵な女優になっていくのでしょう」と、その可能性に大きな期待を寄せる。
「そして原日出子ではなく、“母”として一言。あなたは24歳。大人としての人生を歩みだしたばかり。女優のお仕事はこれからますます忙しくなるでしょう。でもどうか、自分自身の人生を置き去りにしないでください。あなた自身が幸せで、充実した人生を送ることが、結果、女優・木竜麻生を豊かにしていくことを忘れないでください。これからも、ずっとずっとあなたを見守っています。あなたの幸せを心から祈っています。おいしいごはんをつくって、待っていますからね。母・原日出子より」。愛にあふれた手紙を受け、木竜は嗚咽のあまりしゃべり出すことができない。高ぶる感情を必死に抑え、「こんなに幸せで、良いことは多分ないかもしれない」と絞り出した。
これには原も、もらい泣きしながら「ごめん、泣かせちゃって」。岸部は「俳優に大事なことは、人柄だと思う」と切り出し、「彼女は、それをもともと持っている。芸能界という、派手に見えてしんどいことが多い世界にできるだけ染まらず、映画人として大成してほしい」とメッセージを託していた。
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