製作費2億円で炭鉱町も再現 時代の転換期に生きた詩人の苦悩と夫婦愛を描く中国映画
2018年10月26日 15:30
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[映画.com ニュース] 第31回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品された中国映画「詩人」が10月26日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、来日したリウ・ハオ監督、女優のソン・ジア、俳優のチュー・ヤーウェン、プロデューサーのアイビー・ホーが会見した。
中国の経済改革の最中、詩で人生を変えようとした鉱山労働者のリー。妻のチェンは夫を全身全霊で支えたが、急速な経済成長はあらゆる精神的信条の価値を下げ、リーは詩を書くことができなくなる。
リウ監督は「1980年代中ごろから90年代にかけての物語。社会主義経済から市場経済へとの転換期を迎える時期でした」と物語の時代背景を説明。この時代を選んだ理由は「私自身この時代を経験してきて、今も興味深い時代だった。中国の経済が大きな変化を見せ、世の中ががらりと変わるような大変革の時でした。人間は非常に大きな困惑、苦境に立たされたのです。そんな中、人間がどう生きてきたのかを見つめたかった」と語った。
寒冷地の広大な地域に広がる、豊かとはいえない灰色の炭鉱町を再現するためオープンセットを作り上げたこともあり、製作費は約2億円に及んだ。「町の風景は、3カ月かけて作ったものです。このような時代を復元するのは難しかった」と明かした。
劇中では、かつて中国北方の女性が身につけていたという手編みの毛糸のスパッツが印象的に使われる。詩人を演じたチューは「毛糸は夫婦の情愛の表現。二人の感情の動きを微妙に表しています。二人は夫婦ではありながら、母と息子のような情愛も通い合っているのです」と作品のテーマを強調した。
第31回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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