行定勲監督、津川雅彦さんがマレーシアで体現した“生と死の狭間”を述懐
2018年10月3日 19:30
![行定勲監督と松永大司監督](https://eiga.k-img.com/images/buzz/74731/3dd655c5376cd6cc/640.jpg)
[映画.com ニュース] 国際交流基金アジアセンターと東京国際映画祭の共同プロジェクト「アジア三面鏡」の劇場公開を記念した会見が10月3日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で行われ、「アジア三面鏡2016 リフレクションズ」の行定勲監督、「アジア三面鏡2018 Journey」の松永大司監督、東京国際映画祭フェスティバルディレクター・久松猛朗氏、「JAPAN NOW」部門プログラミングアドバイザー・安藤紘平氏、国際交流基金理事長・安藤裕康氏が出席した。
日本を含むアジアの気鋭監督3人が、ひとつのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作する「アジア三面鏡」。「アジアで共に生きる」をテーマにした第1弾「アジア三面鏡2016 リフレクションズ」は10月12~18日に劇場公開が決定し、「旅」をテーマに製作された「アジア三面鏡2018 Journey」は、第31回東京国際映画祭(10月25日~11月3日開催)でワールドプレミア上映された後、11月9~15日に東京・新宿ピカデリーほかで公開される。
松永監督は、長谷川博己とタッグを組んで「碧朱(へきしゅ)」を製作。ミャンマー・ヤンゴン市内の鉄道整備事業に携わる日本人の商社マン(長谷川)の姿を通じて、民主化して間もない街の進化と喪失、現地の人々との交流、彼が抱いた心の機微を色彩豊かな映像で描く。ハワイで撮影を敢行した「ハナレイ・ベイ」(10月19日公開)での経験が生かされたようで、「海外のクルーとの映画作りは、自分の作家性を広げていくうえで大きな可能性だと感じました」と語った松永監督。中国、インドネシア、ミャンマーなどのスタッフが集った「碧朱」について「言葉が通じないことも多かったんですが、映画を作るという点においては非常に勉強にもなりましたし、日本の考え方と違う面もたくさんありました。もっとそういう環境で映画作りをして成長していきたいと感じました」と思いの丈を述べていた。
マレーシア・ペナン島を舞台にした「鳩 Pigeon」の行定監督は、8月に死去した主演・津川雅彦さんとの日々を振り返った。「津川さんがご逝去されたことは僕自身もとてもショックで、あの暑いペナン島での日々を思い出さずにはいれられません」と述べると「津川さんは海外での撮影が大嫌いだったので、オファーした時点で多分ダメだと思っていた」と告白。そして、オファーを受けた津川さんの口から語られたのは「死と生と狭間に存在するような役なんだね」という言葉だったと明かし、「マレーシア入りした時点で7~8キロは痩せてこられていた。死と生と狭間を体現し、鬼気迫る緊張感を放つ様子は、マレーシアの女優が恐怖を抱くほどでした」としみじみと話していた。
行定監督にとって“俳優・津川雅彦”のイメージは「すごく饒舌な芝居をされる方」だったが、「鳩 Pigeon」の撮影では「ただそこに存在することを重視していた」という。海辺での撮影時に呟いた「死と生の狭間では、結局人は何もできないものだな」というひと言が今でも忘れられないようで「マレーシアのキャストやスタッフにとても愛されていました。彼らにとっても、津川さんと一緒に仕事ができたことは、大きな宝物になっているはずです」と哀悼の意を示していた。
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