没後10年、アラン・ロブ=グリエ監督作特集が11月開催 未公開含む6作上映
2018年9月5日 07:00
[映画.com ニュース]20世紀のフランス文学界に革命を起こした“ヌーヴォー・ロマン”の旗手アラン・ロブ=グリエの映画監督作品6本を一挙公開する特集上映「アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティヴ」が11月下旬からシアター・イメージフォーラムで開催される。
53年のデビュー作の長編小説「消しゴム」が、ロラン・バルト、ジョルジュ・バタイユに絶賛され、サルトル、カミュらに代表される実存主義に引導を渡した、ヌーヴォー・ロマン(新しい文学)の代表的作家。60年、アラン・レネ監督「去年マリエンバートで」のオリジナル脚本の執筆を契機に映画製作にも乗り出し、63年「不滅の女」で映画監督デビュー。倒錯的なエロティシズムを描き出す作品で高い評価を得た。ヨーロッパでの圧倒的な知名度にもかかわらず、その過激でスキャンダラスな描写のせいか、他の地域ではほとんど上映の機会に恵まれなかったが、デビッド・リンチら後世のアバンギャルド作家に影響を与えた。
このほど上映されるのは、監督作9本のうちの代表作6本。ルイ・デュリック賞を受賞したデビュー作「不滅の女」(63)、ジャン=ルイ・トランティニャン演じる麻薬の運び屋のドタバタ劇をメタフィクションとして描いた「ヨーロッパ横断特急」(66)、ボルヘスの短編集「伝奇集」の“英雄と裏切り者のテーマ”を下敷きに、オーソン・ウェルズの「審判」をパロディにした「嘘をつく男」(67)、めくるめくエロティックな幻想を色彩豊かな映像で表現したカラー作品「エデン、その後」(70)、アニセ・アルビナ演じるひとりの女性の受難劇をサディスティックに描き、その反倫理的な描写によってヨーロッパ各国で上映禁止となった「快楽の漸進的横滑り」(74)、ルネ・マグリットの同名の絵画をモチーフにした、官能的で幻想的なクライムサスペンス「囚われの美女」(83)。「囚われの美女」以外の5作品は日本未公開・未ソフト化で、初の正式公開となる。
「アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティヴ」は11月下旬より、シアター・イメージフォーラム他全国順次公開。