4回鑑賞が必要?「2重螺旋の恋人」F・オゾン監督が明かす謎解きのヒント
2018年8月3日 13:00

[映画.com ニュース] 「17歳」「スイミング・プール」などで知られるフランスの鬼才フランソワ・オゾン監督が、最新作「2重螺旋の恋人」を携えて来日し、映画.comのインタビューに応じた。
アメリカの作家ジョイス・キャロル・オーツ氏の「双子」をテーマとした短編小説をオゾン監督自身が脚色し、第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも正式出品された心理サスペンス。精神分析医ポール(ジェレミー・レニエ)と恋に落ちた女性クロエ(マリーヌ・バクト)が、ポールの双子の兄と名乗る同じ精神分析医のルイ(レニエの2役)と出会い、ポールとは正反対の傲慢さを持つルイと禁断の関係を深めていくさまが描かれる。
「双子という存在は自然の脅威であり傑作です。同じ体の人間が2つ存在するなんて、こんなに奇妙ですごいものはありません」と、従来から「双子」への関心が高かったことを明かすオゾン監督。オーツ氏が著した原作小説に触れ、「実はこの人自身が『ダブル』の存在で、つまり『真面目な小説を書くジョイス・キャロル・オーツ』という名前と、もうひとつ、『ミステリーを書くロザモンド・スミス』という名前を持っていて、2つのアイデンティティを使い分けている人なんです。その彼女が『双子』の小説を書いたと。これを映画で展開したら面白いと思いました」と、映画化の経緯を語った。
「これまで私が描いたきたヒロインと違い、今回のクロエは狂気のキワキワにいる」と解説する監督は、本作が謎の双子に迫っていく体裁を取りながら、「結局彼女が自分自身のミステリーを解いていく、自身を探索していく物語」と説く。「私は観客に、このヒロインの頭の中、体の中にダイブして欲しい、入り込んで欲しい、そういった気持ちで作っています」。
「双子」をテーマにし、ヒロインの内面へと入り込む物語だけに、スクリーンに映し出されるものには巧妙な意図が仕組まれている。監督は「今作では美術が非常に大切で、すべてのものが登場人物たちの内面を表しているんです。美術担当者と相談して、鏡や、鏡に映る反射、あとは建築物」にこだわったと話す。そして、美術館員であるクロエが眺める展示物も「この映画のためにクリエーションした美術品なんですけれども、すべてクロエの無意識を反映してるようなオブジェです。ちょっと怪物的な。それが何を意味するのかは、映画の最後で明らかになります」と言う。
そもそも、なぜポールはルイの存在を隠しているのか? そしてなぜ彼らの診療室は、同じようにらせん階段を上った先にあるのか? 本作には、謎やワナともいうべき、観客の想像力を喚起させる数々の「仕掛け」が存在する。オゾン監督は「日本の皆さんもミステリーが好きでしょ?」と茶目っ気を見せ、「私は映画のいち観客としてミステリーが好きで、すべてを説明してしまわない映画が好きなんです」とその理由を解説する。
「映画というのは『開かれた扉』であって、観客がその中に入って、見終わった後も頭の中で続いていくみたいなものがいいと思っています。だから私は答えは全部は与えません。映画監督は、観客に質問する、謎を投げかける存在だと思っています。質問の答えを全部説明してしまうんだったら政治家になればいい」と創作のポリシーを明かし、「でも、4回見れば謎は解明されます。ヒットさせるためにそういう策を取っているんです」と笑った。
「2重螺旋の恋人」は、8月4日から全国公開。
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