SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、サンダンス映画祭脚本賞の「ナンシー」が作品賞
2018年7月22日 18:00
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[映画.com ニュース] 今年15回の節目を迎えた新人監督の登竜門「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018」のクロージングセレモニーが7月22日、埼玉・ 川口のSKIPシティ映像ホールで行われた。10本で競われる国際コンペティション最優秀作品賞(賞金100万円)は、米クリスティーナ・チョウ監督による「ナンシー」、4本がエントリーした国内コンペティション最優秀作品賞(同30万円)は、ポン・ジュノ監督や山下敦弘監督作品の助監督を務めた片山慎三監督の初の長編「岬の兄妹」に決まった。
「ナンシー」は嘘をつくことでしか他人とコミュニケーションできない女性の心理を描く人間ドラマ。ナンシーは30年前に行方不明になった娘を探す夫婦の存在を知り、「自分が娘ではないか」と接触を試みる。チョウ監督はこれが長編デビュー作で、今年のサンダンス映画祭で脚本賞を受賞した。主演のアンドレア・ライズボローは「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(14)などに出演し、「呪怨」(00)のリブート版への主演も決まっている。スティーヴ・ブシェミやジョン・レグイザモら演技派俳優が脇を固めた。
プロデューサーのミシェル・キャメロンは「すごく驚いて、緊張しています。本当に時間も費やしたし、努力もしたので、受賞をうれしく思います。地球の裏側に来て、違う文化で受けられた。これこそが映画の力だと思います。映画祭に感謝したい。日本が大好きになりました」と笑みが絶えなかった。
国際コンペ審査委員長の女優・渡辺真起子は「低予算ながら、丁寧に時間をかけて、準備された作品。よく耳を傾けなければ、見逃してしまうような社会の弱者の心の叫びを、一見サスペンスのように見せながら、とても巧みに描き出していました。物語の紡ぎ方の丁寧さに心を打たれました。小さなエリアで起こった、名もなき存在の物語ですが、その孤独感、コミュニティに交わりたいという気持ちはさまざまな人たちが共感できるのではないか」と話していた。
さらに総評として、「丁寧に製作された作品ばかりで、それぞれ見応えがありました。時には心がいっぱいになり、感情的になることもありました。選ばれなかった作品にも、何か躓きがあったとき、前に進むヒントがあったのではないか、と思います。個人的には、多くの女性監督が参加されていて、励まされました」と話していた。
監督賞(同50万円)は、庭の木がきっかけでご近所トラブルがエスカレートするアイスランド発のブラックなホームドラマ「あの木が邪魔で」。審査員特別賞(同30万円)は、最愛の息子を事故で亡くした夫婦とその息子に助けられた少年の交流と事故の真相を描く韓国「最後の息子」。スペシャル・メンションはアイスランドの大自然を背景に、9歳の少女と季節労働者のふれあいを描く「ザ・スワン」だった。
一方、国内コンペ最優秀作品賞の「岬の兄妹」は、貧困から脱するため、売春で生計を立てようとする、足に障害を持つ兄(松浦祐也)と、知的障害の妹(和田光沙)の姿を描く。片山監督は「1年間という長い期間をかけて、撮影しました。受賞できると思っていなかったので、コメントを考えていませんでした。初めて出した映画祭でこのような賞をいただけて、感謝しています」と感無量だった。
今後の長編映画制作に可能性を感じる国内作品に贈られ、次回作を支援する「SKIPシティアワード」は、女子高生の心の闇を描いた「彼女はひとり」。立教大学大学院映像身体学研究科の修了制作作品として製作した中川奈月監督は「どうなるか分からない状態で始まった作品ですが、プロの役者さんに集まっていただいた。たくさんの方々の力で完成し、受賞することができました」と感謝。ほかに、短編部門の最優秀作品賞(20万円)は「予定は未定」(磯部鉄平監督)、審査員特別賞は「口と拳」(溝口道勇監督)に決まった。
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