「ファントム・スレッド」元ネタは? 町山氏が解説、P・T・アンダーソンのビデオメッセージも公開
2018年5月11日 13:00

[映画.com ニュース] ポール・トーマス・アンダーソン監督とオスカー俳優ダニエル・デイ=ルイスが再タッグを組んだ最新作「ファントム・スレッド」のイベントが5月10日、東京・YEBISU GARDEN CINEMAであり、映画評論家の町山智浩氏がトークを行った。
映画は1950年代のロンドンを舞台に、オートクチュールの仕立て屋レイノルズ・ウッドコック(ルイス)と若きウェイトレス、アルマ(ビッキー・クリープス)の危うくも美しい恋の駆け引きを描いたラブストーリー。第90回アカデミー賞の衣装デザイン賞を受賞した。
アンダーソン監督の自宅でインタビューを行った町山氏は、監督から日本の観客に向けてのメッセージと、本作企画の背景など、町山氏の質問に答えるビデオを公開。アンダーソン監督は、英国を舞台にしたゴーストストーリーを作ろうと考えており、参考としてアルフレッド・ヒッチコックの「レベッカ」、ジャン・コクトーの「美女と野獣」などを見ているときにインフルエンザに罹患し、妻(マーヤ・ルドルフ)に看病してもらったことが、今回の物語のインスピレーション源になったことを明かす。町山氏が、ジョナサン・デミ監督の「羊たちの沈黙」のようだと指摘する一場面もあった。

「『ファントム・スレッド』は、ウッドコックという城をアルマが攻略していく物語」と表現する町山氏は、本作の元ネタといえる作品を紹介。ヒッチコックが映画化し、デビッド・フィンチャーの「ゴーン・ガール」の元ネタでもある、女流作家ダフニ・デュ・モーリエの小説「レベッカ」とその続編「レイチェル」、スタンリー・キューブリックも影響を受けたという、マックス・オフュルス監督のオムニバス映画「快楽」のうちの1編で、偉大な芸術家であることが第一で、妻や生活に縛られることを求めない画家とミューズを描いた「モデル」を挙げ、「いろんな映画の記憶とアンダーソン監督の個人的体験が一致した、世界中の男女関係に通じるような素晴らしい映画。『レベッカ』と『快楽』を見るとアンダーソン監督のイマジネーションの源泉がわかる」と分析した。
また、本作のネタばれしないお勧めの仕方を教えてほしいと観客にリクエストされた町山氏は、「ラブロマンスで、ゴージャスで、コメディで、ホラー。複合的な映画で、映画の面白いところを全部詰め込んでいる。そして、音楽がすばらしい。デビッド・リーン監督のメロドラマについているラフマニノフの音楽のタッチを狙ったと思います。そして、常にふわふわと動いているカメラワーク。監督はそれをやりたくて、自分で撮影したそうです」と見どころをまとめた。
「ファントム・スレッド」は、5月26日から全国公開。
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