山形国際ドキュメンタリー映画祭で受賞 香港の雨傘運動を記録した「乱世備忘」7月公開
2018年4月19日 12:00

[映画.com ニュース] 2014年に香港で起こった「雨傘運動」の一部始終を、運動に参加した若者たちの視点から記録した「乱世備忘 僕らの雨傘運動」が、7月14日から東京・ポレポレ東中野ほかにて全国順次公開されることが決まった。
1997年にイギリスから中国に返還された香港は特別行政区となり、将来的には普通選挙で行政長官を選ぶことができるようになるはずだった。しかし14年、北京は共産党が支持しない候補を選挙から排除する仕組みを導入する「8.31決定」を下し、民主主義的な普通選挙の道が閉ざされる。「8.31決定」の撤回と「真の普通選挙」を求める若者たちは街を占拠するデモ活動を開始し、警官隊から浴びせられる催涙弾に対して雨傘を手に抵抗したことから、一連のデモは「雨傘運動」と呼ばれた。
映画は、大学で映像制作を学び、短編などを発表していた当時27歳のチャン・ウージンがデモの前線でカメラを回し、その中で出会った学生など若者たちに焦点を当てた。彼らが路上にテント村をつくり、ともに寝起きし、時に討議をしたり笑いあったりする姿を映し出し、ごく普通の若者たちが「香港人」として「香港の未来」を探し求め、戦った79日間を記録した。
17年の山形国際ドキュメンタリー映画祭では、アジアの新進ドキュメンタリー作家の作品を紹介する「アジア千波万波」部門で上映され、小川紳介賞を受賞。劇場公開に向け、香港でも個展を開催するなど人気の美術家・奈良美智から「彼らの最前線は宙に舞い飛び散ったのか? それは夢であったのか? 香港の街は静かな夜に涙するだけなのか? 否! 道は続くのだ! と僕は思った」とのコメントが寄せられている。
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