浅野忠信×椎名桔平×忽那汐里、ハリウッド発のヤクザ映画「アウトサイダー」で得たものとは?
2018年3月17日 12:00
[映画.com ニュース] 第2次大戦後のヤクザ社会を描いたNetflixオリジナル映画「アウトサイダー」(Netflixで配信中)に出演した浅野忠信、椎名桔平、忽那汐里が、製作秘話と、主演を務めたオスカー俳優ジャレッド・レトとの共演を振り返った。
映画は、捕虜となり刑務所にいた元アメリカ人兵士ニック・ローウェル(レト)が、刑務所で知り合ったヤクザの清(浅野)との絆を深め、ヤクザとして日本の闇社会に潜り込んでいく様子を描いたクライムドラマ。椎名は清の兄弟分でニックに嫉妬するオロチ役、忽那は清の妹でニックが愛するヒロイン美由役で出演した。マーチン・ピータ・サンフリト監督がメガホンをとった。
国際派俳優として「マイティ・ソー」シリーズや、「バトルシップ」「沈黙 サイレンス」などのハリウッド大作でも活躍する浅野は、今作の原案を手がけたプロデューサーのジョン・リンソンとともに、企画のスタート段階から携わっていたことを明かす。
浅野「ジョンと日本で会ったときに、『アウトサイダー』というヤクザの映画を撮りたいと話してくれたんです。本当に最初の段階で、気付かないうちに関わっていました(笑)。マーチン監督が参加して、本格的に動き出しました」
椎名も製作初期段階から参加。当時を、「ジョンに呼ばれて、マーチン監督とスカイプで30分くらい話しました。それがオーディションだったのかもしれないですね」と述壊。サンフリト監督は、今作のメガホンをとると決定した段階で「忠信と桔平を起用したいというのはもう決まっていた」と話しており、2人に絶大な信頼を寄せている。
オーディションを複数回行ったという忽那は、「最終的にはジャレッドさんが選ぶと言われて、スカイプで話しました。手ごたえは、正直そんなになかったんですけど……(笑)」とはにかむ。そんな忽那だが、サンフリト監督は「たくさんの女優をオーディションしたけれど、汐里の演技を見た瞬間に夢中になっていたよ」と告白している。
サンフリト監督の明確なビジョンを体現するため、冷酷な面と人情に厚い面を合わせ持つ清を演じた浅野は、感情の表現方法に苦心したと話す。刑務所から病院に移るためわざと切腹するシーンでも、痛みを堪えた独特の静寂を求められた。
「(切腹は)やったことがないですからね(笑)。想像で『うおおおお!』とかやっていたんですけど、監督は『清はそんなキャラじゃない!』と。もっと冷酷にと。ついリアルな方にばかり考えて、キャラクターを忘れてしまって(笑)」
忽那も、「1シーンでまったく違う演技を求められる。そこまで柔軟性を持ってやることに慣れてなかったので、とてもいい経験になりました」と、サンフリト監督独特の演出法に徐々に適応していった。さらに、「レコードをかけて美由が踊り出すシーンで、全然参戦してくれないニックの前で一生懸命ずっと踊るのはちょっと恥ずかしかった。でも、気にせず1曲分全部踊りました(笑)」と女優魂を覗かせる。
一方、三重出身の椎名は、監督から関西弁についてアドバイスを求められたという。実際にサンフリト監督は、英語のセリフで書かれた当初の脚本を、ほとんど日本語に変更。「ほかの国の映画を英語でリメイクしたような作品が嫌いなんです。忠信と桔平が英語で会話しているなんてばかばかしいよ」とコメントしている。
そんなマーチン監督が描いた日本を、椎名は「新鮮です。見方が違う。(今作と同じく大阪を舞台にした)リドリー・スコット監督の『ブラック・レイン』が公開された当時は、映像にすごく驚かされた。そういう風になればいいなと思っていたら、やはり映像的に美しい映画になっていました」と評価する。
メソッド演技法を実践し、役に入り込む俳優としても有名なレトとの共演について問うと、浅野は「(レトは)この役に関して悩んでいると正直に話していました」と振り返る。「やはり『慣れない』と。今までは激しく役作りする役が多かったけれど、今回は静かな役だったので、『どうやればいいかわからない』と言っていましたね」
レト自身は、役作りについて「心的外傷後ストレス障害(PTSD)と第2次世界大戦後という時代背景について、たくさんのリサーチをしました。このテーマは非常に魅力的で興味深いものですし、こうした学びの喜びこそ映画作りの醍醐味だと思います」と語っている。
また、「日本での仕事は夢のようでした。日本人の役者のみなさんとの共演も格別な体験でした。彼らは技術と才能に秀でており、見ていて学ぶことが多かったです。この作品に全力を注ぐ日本人の役者のみなさんと共演できたのは本当に光栄でした」と日本人キャストを賞賛。浅野、椎名、忽那は、今後も海外製作の作品に出演する機会を望んでいる。
特にオーストラリア出身の忽那は、日本で女優業を始めたときにはハリウッド進出は「まったく考えていなかった」というが、今作に続き、6月に公開される「デッドプール2(仮題)」にも重要な役どころで出演することが発表されている。「(この状況は)不思議です」と目を丸くし、「英語圏で育ったはずなのに、10年以上日本にいて外国で仕事をすると、違う環境に来ているという感じがします」と本音を吐露。それでも、「挑戦できるところまではしたい」と国際的な活躍に意欲を見せた。
最後に、今作が190以上の国と地域に配信されることについて尋ねると、3人とも動画配信サービスという新たなプラットフォームに大きな期待を寄せた。
浅野「たくさんの人に見て欲しいので、本当に嬉しいですね」
忽那「色んな世代の人に見ていただける機会になると思うので、楽しみです」
椎名「動画配信サービス自体が映画史からするとすごく革命的なこと。映画ってなんだろうというのは、お客さんたちも含めて考えていくことで、次の形になっていくのかなとも思いますね」
言葉や文化、そして“映画”という概念の壁をもしなやかにすり抜け、世界に羽ばたいていく3人に今後も注目したい。
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