チャン・チェン&SABU監督、火鍋を食べながら始まった「MR.LONG ミスター・ロン」
2017年12月16日 13:30
[映画.com ニュース] 中華圏を代表するスター、チャン・チェンが、SABU監督による日・香・台・独合作「MR.LONG ミスター・ロン」(公開中)に主演した。日本での任務に失敗した殺し屋ロンは、逃亡先の北関東の街で、ひょんなことから牛肉麺の屋台を開業し、思いもかけず屋台は大繁盛……。そこで知り合った子どもとの親子愛にも似た愛情、おせっかいな周囲の人々との交流。ハートウォーミングかつハードボイルドという、笑って泣ける作品となっている。念願の初タッグを組んだチェンとSABU監督が語り合った。(取材・文・写真/平辻哲也)
SABU監督(以下、SABU)「とにかく格好いい。すごくクール。あんまり男の人を格好いいとは思わないけど、格好いいなあって」
チャン・チェン(以下、チェン)「最初に監督の作品を見たのは(デビュー作の)『弾丸ランナー』、そのあとすぐに『ポストマン・ブルース』を見て、とても衝撃を受けました。その時、僕も若かったんですが、監督の映画からは前に進むようなメッセージや衝動をすごく感じたんですね。内容、扱うテーマも好きでした。僕の性格と合っていました」
SABU「ニュー・モントリオール国際映画祭のパーティー。僕は『疾走』を出品していました」
チェン「すごい昔ですね、2005年かな。僕は審査員をやっていた」
SABU「僕は落とされたんだよ(笑)」
チェン「僕とは関係ないところで決まったから(笑)。パーティーでタバコを吸っていた監督を見つけて、僕から声をかけました」
SABU「一緒に写真を撮ったよね」
SABU「高雄国際映画祭の時、『天の茶助』のキャンペーンで台北にいたんです。そしたら、配給会社の方から『チャン・チェンが来る』って聞いて、まじかって思った。びっくりしましたよ」
チェン「普段は台北で暮らしているのですが、ちょうど監督が台北にいらしていると、仲のいい配給会社の友人から聞き、会いに行きたい、と」
SABU「そこで、『映画に出ない?』と彼に言った。大概は口約束で終わっちゃうんですけど(笑)。早速、脚本を書きたいなと思った。すぐ取りかかれる状態で、ちょうどタイミングが良かったし。チャン・チェンのクールさを生かしつつ壊したいっていうか……。その壊した部分にも、すごい愛情があったり、切なかったりっていう作品を作りたいと思いました」
チェン「僕は、SABU監督という存在、人物に興味を持っていたんです。監督の作品も好きなのでどういう人なのか、理解したかった。そもそも、会うという機会もうれしかったですし、一緒に映画を作れるのなら、と思いました。ただ、監督の印象は、想像とはちょっとどこか違っていました。映画を見て想像していた監督はもっとアクティブで、外向的な方。実際はどちらかというと、内向的というか静かな人でした」
チェン「(日本語で)鍋! 火鍋ですね(笑)」
チェン「いや、大体、コーヒーを飲みながらです(笑)。冗談です(笑)……やっぱり縁がとても大事だなと思います。いろんなチャレンジというか、試す必要があると思うんですね。例えば監督や製作をする側としたら、いろんな機会を設けて、人と会って、この人を使いたいっていうことがあると思うんですけど、役者としても、今まで試したことない人と映画を作ったり……。あとは試したことない役を演じてみるということで、自分に対しても観客に対しても新しい自分を見せられるということが大切だと思います」
SABU「僕もすごい縁を感じていた。映画祭とかいろんなところで会って、『僕の映画を好き』と言ってくれたりすると、やっぱり意識します。次、(脚本を)書こうかなとか、どんな役で出てもらおうかなって」
チェン「監督が好きなので、まったく問題ないです」
SABU「そこはね、大スターなんで、安くても良いんだって思われると困る(笑)」
チェン「この仕事、映画が好きなので、いろんな形態の違う映画だったり、普段やらないような役をやることが大事だと思います。もちろん自分に合うかどうか、出来るかどうかっていう選択をすることも大事なんですが」
SABU「いつもそうなんですけど、予告編的なものが頭に浮かんで流れて、それを掴む感じですね」
チェン「僕も昨日、同じことを聞いたんですよ(笑)」
SABU「多分、未来に完成された形があるんです。すごいぼやっとしているけど、努力すれば、掴める。それを少しずつ確かめていって脚本を書く感じ。甲州街道の明大前から笹塚に向かう道を運転中に、フッと降ってきました(笑)」
チェン「それは危ない(笑)。気をつけてくださいね(笑)」
SABU「夜中の大体2時くらいに、音楽をガンガン聴きながら脚本書いている時は、音楽がだんだん聞こえなくなっていって、映像がいっぱい来ます」
チェン「とても面白いと思いました。殺し屋というキャラクターは冷酷なんですけど、料理をすることは、殺し屋の仕事とも共通すると思うんですね。料理をするときも正しいレシピというか、多重にも手順を踏まえて、最後に完成するみたいな……。包丁というか、ナイフで表現をしているという点も、とてもロマンを感じました」
SABU「マイナスな道具がプラスに変わるって、面白いと思ったんですよ。ナイフに感情がこもりますしね。チャン・チェンの作った料理は現場でも評判だったね」
チェン「僕も作ったんですけど、コックさんもいたので、みなさんがおっしゃっていたのはきっとコックさんの方ですね(笑)」
チェン「できます、します!」
チェン「(日本語で)豚汁!家では簡単な料理を作ります」
SABU「そっちの方が好き」
チェン「僕も気に入りました。タイトルをパッと見て、画面が浮かぶような感じだと思いました。直球が好きなんで(笑)」
チェン「安心感がありました。監督はやることははっきりしています。監督の作品にはブラックユーモア的なコンセプトが多いと思います。それには、監督と同じレベルというか、同じ笑いどころでないと難しいわけです。知らない土地での撮影で、いくらかプレッシャーもありました。プレッシャーを抱えながらコメディをやるのは難しいんじゃないかと監督に相談したのですが、『そこは任せてくれ。僕がプレッシャーは取り除くから』と言われたので、安心して演技に集中することができました。監督はとても良いリーダーでした。そのリーダーに従って、役者もスタッフも順調に正しくお仕事をすることができました」
SABU「チャン・チェンの演技は、僕の想像を超えてくれる。ある意味、任せていました。うまいし、絵になる。カメラマンもすごく喜んでくれたと思いますね」
チェン「言葉を超えたものがありました。通訳さんもいましたし、何も問題なかった」
SABU「そうだったね。とにかく、チェン・チェンはすごい紳士。現場のスタッフはみんな、彼のことが大好きでした」
チェン「とても楽しい経験でした。僕自身、とてもよく演じられたんじゃないかなと思っています。次回はもっと違う顔を見せたい。また、ご一緒する機会があったら、いいなと思います」
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