【日本最速レビュー】「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」が示した“本当の勝利”
2017年12月13日 02:00
[映画.com ニュース] 大人気SFシリーズ最新作「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」が、12月15日に公開される。世界中が待ちわびる本作を、映画.comは一足先に鑑賞。善と悪の徹底的な戦いでファンを熱狂させてきた「スター・ウォーズ」が、シリーズ8作目にして新たな方向性を示した。
上映時間がシリーズ最長の2時間32分となった今作。「LOOPERルーパー」で注目を集めたライアン・ジョンソン監督が、これでもかと詰め込んだ「スター・ウォーズ」への愛がほとばしり、時間の経過を忘れさせる。目を見張る視覚効果とアクション、テンポよく織り込まれるユーモア、レジェンドであるオリジナル・トリロジーのキャストと新キャストが同じスクリーンに登場する興奮も手伝い、綿密に練られた物語へと一気に引き込まれた。
今作は、新たなトリロジーの第1作「スター・ウォーズ フォースの覚醒」(2015)のその後を描いた物語。前作は、主人公レイ(デイジー・リドリー)が、孤島に30年間姿を潜めていた伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)と出会うという強烈なフックを残して幕を閉じた。今作は、常にトリロジーの大きな転換点となってきた第2作としての役割を、これまでにない世代交代という形で果たしている。
ルークをレジスタンスに連れ戻そうと説得するレイに対し、忌々しい過去を理由に冷たく当たるルーク。それでもルークの側を離れずひとり修行を続けるレイ。同行したドロイドR2-D2も、往年のファンが歓喜するであろう演出でルークを説得にかかる。そんななか、ダース・ベイダーに傾倒し、ダークサイドに身を置くレイア・オーガナ将軍(キャリー・フィッシャー)の息子カイロ・レン(アダム・ドライバー)とレイに不思議な絆が芽生える。善でも悪でもない。どちらにもなり得る2人が互いの繊細な心に触れ合う場面には、ハラハラさせられっぱなしだ。
言及しなければならない点のひとつとして、今作での女性キャラクターの活躍がある。レイアをはじめ、目的を同じくするレジスタンス幹部のホルド(ローラ・ダーン)、能力をさらに開花させるレイ、ひょんなことから重大ミッションを遂行することになるローズ・ティコ(ケリー・マリー・トラン)、ローズの姉で作戦を最後まで遂行するペイジ(ベロニカ・グゥ)。レジスタンスの危機を救うきっかけは、いつも芯の強い女性たちだった。6月に米国人Twitterユーザーが「『スター・ウォーズ』は女に乗っ取られるまでは最高だった」と投稿し、ジョンソン監督はキャリー・フィッシャーが笑顔で中指を立てている画像で返答した。ジョンソン監督の“宣戦布告”通り、今作に登場する女性は全員が勇敢で輝いていた。
自らの道や目的を追い求めるものにとって、“本当の勝利”とはなんなのか。大儀のための自己犠牲は美徳なのか。そこに生まれる悲しみや絶望は仕方のないことなのか。「スター・ウォーズ」史上初めて、“死んでも戦い続ける”ことに疑問を呈し、明白な答えを出した。ラスト約30分、この問いに全力で答えるような展開に胸が熱くなる。現実に生きるほとんどの人がそうであるように、キャラクターたちは迷い、失敗し、そこから気付きを得る。これまで以上に“信頼”“絆”“愛”といった感情に寄り添ったストーリーに、観客は大いに笑い、そして涙することになるだろう。「遠い昔。はるかかなた」を舞台に紡がれている物語が、現代に生きる我々に普遍的なメッセージをダイレクトに投げかけてくる。全員が自分自身に決着を付け、新たな物語を紡ぐ“覚悟”を示した1作となった。
「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」は、12月15日に世界公開される。
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