大女優カトリーヌ・ドヌーブが語るフランス映画の魅力、出演作の選び方
2017年12月8日 17:00

[映画.com ニュース]フランスを代表する2大女優が初共演し、母娘を演じる「ルージュの手紙」が12月9日公開する。助産師として実直な生活を送るクレールが、奔放な振る舞いで人生を謳歌する血のつながらない母親と30年ぶりに再会する。対照的な性格のふたりが、互いを受け入れ新たな関係を構築していく様を「セラフィーヌの庭」のマルタン・プロボ監督が温かなまなざしで描いた女性映画。来日した大女優カトリーヌ・ドヌーブに話を聞いた。
派手な洋服を着こなし、タバコをふかしながら30年ぶりに再会した娘にはずけずけと物を言い困惑させるベアトリス。ドヌーブ自身のエレガントな佇まいとは一味違ったキャラクターを演じた。「好奇心旺盛で、何にでもチャレンジする女性。人生をとことん生きていて、友情も、過去の男性関係も、ギャンブルも、タバコも、お酒も、食べることも、あらゆることにエネルギッシュ。ですから、演じるのにも非常にエネルギーを使いました。彼女は、人生にどんなことが待ち受けていようとも、今までどおりの生き方を貫きます。後退したり、落ち込むことなしに突き進むのです」
今作のオファーを受けた理由は「登場人物の精神、エスプリが素晴らしかった」。演じたベアトリスに共感したり、憧れる部分はあるのかというと「いいえ、全然(笑)」と肩をすくめる。「でも、エゴイストだけど憎めない性格には惹かれます。役柄に愛着はありますが、彼女の生き方は木にとまる鳥のように、今だけを生きているのです」
(C)CURIOSA FILMS – VERSUS PRODUCTION – France 3 CINEMA (C)photo Michael Crotto出演作を選ぶ決め手は「シナリオが面白く、自分が演じる役だけではなく、他の登場人物が興味深いもの」だそう。長年のキャリアの中で、その選択基準は変化していくと語る。「今、自分がやっている選択は25歳の時にはしなかったと思うし、そのときの自分が共感できる脚本や監督と仕事をしたいのです。今回のプロボ監督の『セラフィーヌの庭』が好きでした」
「この作品はシナリオを読んで、自分が想像していた人物たちがそのまま描かれていた印象です。皆、非常に人間的で、センチメンタルな部分もあるがいきいきとしている。通常、シナリオ通りに映画が仕上がることはまれなのですが、この作品は、思い描いた通りに完成して、さらに想像を超えたよいサプライズもありました」と感想を語る。そして、「反対に、撮影中に不安があっても仕上がりが良い作品もあります。フランソワ・トリュフォーの『終電車』の現場はとても大変でしたが、素晴らしい作品になりました」というエピソードも明かしてくれた。
今回の来日では、世界に旬のフランス映画を紹介する「フランス映画祭」団長も務めた。フランス映画の魅力は「ジャンルや描かれている人物が幅広く、今年のフランス映画祭では、ふたり女性監督の作品が選ばれたように監督のタイプも多種多様。そして、作品のオリジナリティが高いこと」だという。そして最後に、「東京には何度も来ているけど、いつもとても滞在が短くて……ホテルと車の窓から街を眺めるだけ。今度来れたら1週間オフをとってゆっくり日本をめぐりたいですね」と微笑んだ。
「ルージュの手紙」は、12月9日から東京・シネスイッチ銀座ほか全国で順次公開。
(C)CURIOSA FILMS – VERSUS PRODUCTION – France 3 CINEMA (C)photo Michael Crotto
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