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アルノー・デプレシャン監督「監督人生において重要なこと」を日本のファンに伝える

2017年10月28日 20:15

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アルノー・デプレシャン監督
アルノー・デプレシャン監督

[映画.com ニュース] 第30回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス」に出品された「イスマエルの亡霊たち」の上映が10月28日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、アルノー・デプレシャン監督が観客からの質問に答えた。

そして僕は恋をする」などで知られるフランスの俊英デプレシャン監督の新作は、期せずして奇妙な三角関係に陥った映画監督の日常と、彼の創造する映画とがモザイク状に組み合わさった愛のドラマ。今年5月に開催された第70回カンヌ国際映画祭ではオープニング作品に選出されており、そこでは114分の短縮バージョンが上映されたが、今回は134分の「ディレクターズカット版」での上映となった。

マチュー・アマルリック演じる主人公のイスマエルが映画監督ということで、観客からは「自身をモデルにした?」という質問が投げられたが、それにはデプレシャン監督も「今まで映画監督を主人公にしたことはありませんでした。マチューもわたしも、イスマエルのような監督にはなれないんです。そもそもイスマエルは過激で気まぐれで、失礼な男でもある。マチューもわたしも慎重な男だし、薬をのまずに、健康にも気を付けていますからね」と笑ってみせた。

本作はアマルリックをはじめ、シャルロット・ゲンズブールマリオン・コティヤールらフランスを代表する人気俳優の共演も話題となっている。「わたしにとっては夢のようなひとときでした」と振り返るデプレシャン監督は、マリオンについて「彼女が演じるカルロッタという役について考えてください。彼女は一度消えて、また戻ってくるという神話的なところがある登場人物です。マリオン自身も、自ら神話を作ることができる力の持ち主です。彼女は神話的な存在になれるんですが、同時にただの少女のようにも、子犬のようにもなれる女優なんです」と説明する。

さらに続けてシャルロットについて「彼女が演じたシルビアは、女性として傍観者ですが、同時に灰の中の熾火(おきび)のようでもあります。彼女にはもっと燃え上がってほしい、灰を落としてもっと生きてほしいと言いたくなるような存在です。シャルロット自身はラース・フォン・トリアーの映画で生命力に満ちた役を演じたこともありましたが、それと同時に彼女の中には慎みがあるんです」とそれぞれの女優について評した。

本作ではロックからストリングスまで、幅広いジャンルの音楽が使用されていることから、選曲のやり方について質問されたデプレシャン監督。「音楽を選ぶのは編集をしているときです。僕が好きなのは音楽と音楽をぶつけさせること。例えばヒップホップとクラシックをぶつけてみたり、ベートーベンとジャズをぶつけたり、といった具合です。僕にとって崇高な存在はマーティン・スコセッシなんです」と笑顔を見せた。

そんなティーチインイベントもいよいよタイムアップ。最後のコメントを求められたデプレシャン監督は、「わたしが初めて日本に来たのは、2本目の監督作である『魂を救え!』の時でした。それ以来、日本に来ることは、監督人生において重要なこととなっています。もしあのとき以来、日本の方との対話を続けることができなかったら、今のような作品は作れていなかったでしょう。だからここに来られて本当に感動しているんです」と日本の観客にメッセージを送った。

第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。

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