「ブレードランナー 2049」の世界観はこうして作られた!ビルヌーブ監督が明かす激動の製作過程
2017年10月27日 09:00
[映画.com ニュース] 「メッセージ」「ボーダーライン(2015)」で知られるドゥニ・ビルヌーブ監督が、傑作SFの続編「ブレードランナー 2049」(公開中)を携えて来日。前作「ブレードランナー」(1982)の30年後を描く本作の製作背景について、映画.comに語った。
2049年の近未来を舞台に、人造人間“レプリカント”の暴挙を阻止する捜査官“ブレードランナー”のK(ライアン・ゴズリング)と前作の主人公デッカード(ハリソン・フォード)が、謎めいた科学者ウォレス(ジャレッド・レト)の陰謀に迫っていくさまを描く本作。すでに世界46カ国で初登場第1位を記録し、世界興行収入も10月26日時点で2億ドル近くのヒットを記録している。
「ブレードランナー」といえば、映画という枠を飛び越え、あらゆるメディアに影響を与えたエポックメイキングな傑作として名高い。「メッセージ」でオスカー候補に躍り出たビルヌーブ監督といえど、その“続き”を描くのは困難の連続だったのではないか? ビルヌーブ監督は「僕は元々小さいグループの中で映画作りをしていたんだけど、その時はみんなが同じ曲を演奏しているというような感じで(図式が)わかりやすかった。直に話せる人たちならいいんだけれど、今回は3000マイル(約4828キロメートル)離れた場所にいるコンピュータ技師たちとも打ち合わせなければならない。忍耐力が必要だったよ、ありったけの忍耐力がね(笑)」とおだやかな口調の中にも苦労をうかがわせる。
「本当に長い戦いだった。僕と近いビジョンを持っていて話がすぐ通じる人もいれば、かけ離れた人もいたからね。すごく大変だったよ」と完成までの道のりを述懐したビルヌーブ監督は、「でもね、僕にはとても心強い味方がいたんだ。ロジャー・ディーキンスさ」と、「プリズナーズ」や「ボーダーライン(2015)」でも組んだ撮影監督の名を挙げる。「本作のコンセプト作りから彼と一緒にやっていて、デザインも一緒に作ったからものすごく強い味方になってくれてね。僕のビジョンを守るために彼が強くなっていったんだ。僕も頑固だったけれど(笑)。街の景観や建築物に関しては、かなり具体的に望んでいたものがあったから、長い時間をかけて作っていったよ」と“戦友”の存在なくしては本作の成功はなし得なかったそうだ。
「ブレードランナー」という“怪物”と格闘し続けたビルヌーブ監督は、「観客がどう反応するかはわからなかったけれど、完成品を見たときに、自分の夢がスクリーンに映っていることはわかったんだ」と大きな手ごたえと確固たる自信を得た様子。こちらに向かって「君なら、本作はどういう風な世界だと説明する?」と“逆質問”し、圧巻の映像世界を生み出した秘けつを「できるだけ自然光を取り入れたことかな」と考えをめぐらせつつ語るさまや、インタビュー中に部屋に置かれたポスターパネルに目をやり「日本語のタイトルのデザインがとてもいいね」とほほ笑む姿からは、肩の荷を下ろしたかのような安ど感が伝わってくる。
「メッセージ」、そして本作と、SFの枠組みの中で他者とのつながりを描く作品が続いているが「自分では気づいていないだけで、もしかすると潜在意識の中でこういった題材にひかれる、といったものがあるのかもしれないね。本作の脚本を初めて読んだときには、自分がすごく慣れ親しんだ故郷というか家というか“この世界を自分は知っているし、テーマもわかる”という、何か自分が今までやってきたものとつながっている気がしたんだ」と本作のオファーが舞い込んできたことに浅からぬ縁を感じている様子。
そんなビルヌーブ監督に、改めて豊かな創造力の源泉を聞くと「人生体験ももちろんあるけど、幼少期から20歳くらいまでの間は常にさまざまなことを夢想している“ドリーマー”だったんだ。さまざまなイメージを常に想像しながら生きていたし、ほかの作り手たちからも影響を受けてきたよ」とのこと。本作においては、「1番の源はオリジナルの『ブレードランナー』だね。それと、黒澤明監督からは緊張感のある映像と、まったく動かない画作り、それに時間の使い方を学んだよ。塚本晋也監督からはリズムやバイオレンス、メビウス(編注:フランスの漫画家ジャン・ジロー。『ブレードランナー』に影響を与えた探偵漫画『ロング・トゥモロー』を手がけたほか、アレハンドロ・ホドロフスキー監督とのタッグで知られる)、(『ブレードランナー』のデザインを担当した)シド・ミード……あとは『ピノキオ』だね(笑)」と日本の巨匠を絡めて語った。
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