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内田裕也「十階のモスキート」をファンと鑑賞、胸中を吐露

2017年10月14日 14:00

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内田裕也と崔洋一監督
内田裕也と崔洋一監督

[映画.com ニュース] ロックンローラー・内田裕也が主演した映画「十階のモスキート」が10月13日、開催中の京都国際映画祭2017で上映され、内田とメガホンをとった崔洋一監督が、京都・TOHOシネマズ二条での舞台挨拶に出席した。同映画祭オープニングセレモニー前の取材(12日)では、右足甲骨折&肋骨のヒビ、そして1カ月間の入院生活を告白した内田。この日はファンと共に作品を鑑賞していたようで、崔監督らに支えられながら登壇すると「コンディションは良くないんですけど、万感胸に迫る思い。京都の地で上映できたことが感無量です。自分を俯瞰して見ながら、とてもストレンジな気持ちになりました」と胸中を吐露していた。

崔監督のデビュー作となった本作は、京都府警の警察官不祥事にヒントを得て、管理社会に身を置く現代人の欲望と崩壊を描く。妻に離婚され、サラ金地獄に陥った警察官(内田)が郵便局強盗を企てるまでをつづる物語は、崔監督と内田が脚本を共同で執筆。主演の内田のほか、アン・ルイス小泉今日子らも参加しており、崔監督は「金融会社の男(安岡力也)の背後にいるのは、カメオ出演してくれた若松孝二監督」「競艇場のシーンでは、僕もチラッと出ている」と明かしていた。

34年前に製作された本作は、内田が真夜中に崔監督へかけた1本の電話から始まった。「映画を突然つくってみたいと閃いた。当時は偉そうにしている脚本家ばかりだったので、自分で書かなかきゃしょうがないと思って、3日間くらいで大筋を仕上げた」と述懐する内田に対し、崔監督は「(電話は)深夜2時だったと思う。『俺、頭にきているんだよ』と仰られていた。それがよくわかるような、わからないような独特な“裕也節”。80年代は日本の映画産業が変化していく時でしたし、その点に関する苛立ち、神経過敏になっている部分があったんだと思う」と振り返っていた。

MCを務めた「キネマ旬報」編集長・青木眞弥氏から「なぜ崔監督に映画をつくらせようと思ったのか?」と問われた内田は「自分は不誠実の塊みたいな男ですけど、誠実さ、そして相性や感性を大切にしている」と決め手を説明。そして「生まれて初めての脚本は、崔さんのヘルプがなければ完成しなかった。我ながら直球で面白い出来だと思う」と自負をのぞかせる。そして、「(崔監督は)俺と組むのはこりたと思う。けど、監督に対しては意外と素直だと自負しています」と語っていた。

舞台挨拶の最中は、終始車いすに座ったままだったものの「今日は吉本(興業)さんのおごりで1杯飲みたいと思います」と発言するほど“舌好調”だった内田。降壇する際、お決まりの「ロックンロール!」の代わりに、観客に向かって「皆さん、本当にありがとうございました!」と謝意を示すと、万雷の拍手が送られていた。

京都国際映画祭2017は、10月15日まで開催中。

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