「PFFアワード2017」グランプリは清原惟監督「わたしたちの家」に決定!
2017年9月29日 20:30
[映画.com ニュース] 第39回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)を締めくくる「PFFアワード2017」の表彰式が9月29日、東京・京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターで行われ、東京藝術大学大学院映像研究科出身の清原惟監督作「わたしたちの家」がグランプリを受賞した。
東京藝術大学大学院映像研究科の修了作品として製作された本作は、「母と娘の暮らし」「女2人の生活」という2つの物語が同じ一軒の家で同時進行していくという風変わりな構成で、それぞれの世界が交錯し、徐々に混乱が生まれていく様子をとらえている。清原監督は「今回で3度目の入選になるのですが、まさかグランプリをいただけると思っていなかった。信じられない気持ちでいっぱいです」と驚きを隠せない。作品に携わった人々への謝意を示すと「この作品はポリフォニックに響いていく世界を扱ったもの。多くの方々に見ていただいたことで、この映画のポリフォニー性がさらに広がったのではないかと思います。今回の受賞に甘んじないで、100年後、私の知らない誰かが見てくれるような作品をつくるために頑張っていきたいです」と語っていた。
今年の最終審査員は、「悪人」「怒り」の李相日監督、「ウルトラミラクルラブストーリー」「俳優 亀岡拓次」の横浜聡子監督、女優の市川実日子、撮影監督・渡部眞、映画プロデューサーの永井拓郎が務めた。それぞれの講評もあり、かつてPFFスカラシップ作品「タイムレスメロディ」で長編映画デビューを果たした市川は「今回17作品を見せていただいている時に『タイムレスメロディ』の撮影を思い返していた」という。そして当時の撮影を経て、芝居の魅力に気づいたことを明かし「人の想像力ってすごいなって、いつも感じます。個性と想像力を大事にして作品を作っていってください」とエールを送っていた。
商業映画を見るつもりで審査を行い、自らも多くの“学び”を得た横浜監督は「多分やるべきことは、まだまだ山積みだと思います。今日はあくまで始まりであり、終わりではない。私も映画の作り手としてやるべきことはたくさんあって、それについて一生懸命考える日々です。皆さんと一緒に、真摯に映画と向き合って、日本映画界をつくっていけたらと思います」と述べた。一方、李監督は「わたしたちの家」に対して「ものすごく刺激的。カメラの位置も的確ですし、照明による光と影の存在、美術も細部まで計算されつくしている。映像に“匂い”を感じた」と絶賛。そして、会場に集った全ての監督に「受賞できなかった人は“大いなる殺意”を持って、受賞できた方は背中を気にしないで、とにかく前に進んでいってほしいと思う」と言葉を投げかけていた。
今年は548作品の応募があり、ジャンル・技法ともに多彩な17作品が入選。グランプリの「わたしたちの家」は第30回東京国際映画祭の特別プログラム(11月3日)で上映される。なお、10月14日~20日の期間で「PFF in 京都」を京都シネマにて開催。
全ての受賞作は、以下の通り。
清原惟監督「わたしたちの家」
松浦真一監督「子どものおもちゃ」
シガヤダイスケ監督「春みたいだ」
武井佑吏監督「赤色彗星倶楽部」
武井佑吏監督「赤色彗星倶楽部」
山中瑶子監督「あみこ」
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