「砂の器」伝説の名子役、春田和秀さん 43年を経て語る子役という“宿命”(3)
2017年8月10日 13:00
[映画.com ニュース] 映画「砂の器」の天才音楽家、和賀英良は、過去の名前「本浦秀夫」を封印して、音楽界のトップへ上り詰める。これとはまったく違う形ではあるが、春田和秀さんも子役だった過去について、一切口にしなかった。もらった名刺には、「はるた和秀」と印刷されていた。
春田和秀(以下、春田):漢字で「春田」と書くと、子役時代とリンクしてしまうので、あえてひらがなにしていました。今は調べると、簡単に分かってしまいますが。仕事関係の方には、自分から話すようなことはしていません。
春田:たくさんありました。でも、全て断ってきました。今回は覚悟を決めて、取材を受けさせていただいています。いい加減じゃ、まずいぞ、小さかった時に受けた御恩や縁はちゃんとお返ししないとという思いです。名前は一生残るものです。一生、ひらがなの「はるた」を名乗るわけにはいかないと思っています。
春田:高校を卒業した後に、自動車関係の会社に就職しました。ずっと俳優をやってきたので、社会のことは、右も左も分からなかったです。前にもお話したように、体を使って物を壊したり、作る仕事が好きだったのです。車の組み換えや、モータースポーツのお手伝いもしていました。通常は10年くらいで営業職へ異動になるそうですが、3年でその話が来ました。
春田:でも私には、少しスピードが早すぎたんです。営業が嫌というわけではなかったのですが、3年半で退職していました。その後、地元の中学時代の先輩から自動車関係の仕事の話を頂き、そこで7年くらい働かせていただきました。その経験が今の仕事のベースになっています。
春田:18年前です。アメリカの車をカスタムする会社を経営しています。お客さんのニーズに応え、車を組み立てるという業務内容です。製作には3週間かかるものも、最長では3年かかるものもあります。当時のものをふんだんに使って欲しいとなると、ボディを探してきたり、自作することもあるので時間がかかるのです。僕は、お客さんはみんな監督さんだと思っています。「こういう風に作って欲しい」という要望に応えていく。いわば、役者の気持ちですね。子役の時にやってきたことが違った形で生きているのかもしれません。
春田:思わなかったですね。芸能界関連ではテレビドラマ、映画で使う劇中車の手配などもやっています。最近ですと、(水谷豊初監督の映画)「TAP」にお客さんの車を提供しました。楽しそうな現場で、この時代ならなあと思ったりもしましたが……(笑)。
春田:いや、うちの会社の名前や僕の名前は一切、載せていません。車を提供したお客さんの名前を載せてもらっています。
春田:いいえ。女房と結婚した時も言わなかったです。でも結婚後に、ドラマかなにかを見ていて、見つけられてしまいました。「パパ、番組とかやっていた?」と。だから、やっていたことは知っています。でも、詳しくは言っていません。普段の生活に影響が出ないようにしないといけない、と思っています。
春田:女房と息子は隠れて2、3回見たみたいです。22歳になる息子は今、一緒に仕事をしているので、少しずつ話したりしています。取材で会社を空けることもありますので。
春田:当時、北海道でギリギリまで撮っていました。東京、名古屋、大阪など試写会の舞台挨拶で立った時は、何回か見ていると思います。ただ、その後はそんなに見ていないです。
春田:子役として、いろんなドラマも映画も出演しましたが、大作は自分の背中に絶えず、つきまとってきます。いろんな方が見て、それぞれに感動を持っていて、僕が何も言わなくとも、「あ、『砂の器』の子役の方ね」と言われます。これは、もう“宿命”……。それ以外には言葉が浮かびません。今は40年も封印したことがまずいな、という気持ちです。(こうして「砂の器」の話をしたことで、)あの曲が耳から離れない日が続く、と思います。忘れていた撮影の時や、シーンが浮かんできます。
春田:この5、6年、(ネットの)コメント欄をこっそり見ていました。話してもいいかなと思ったのは、この3年くらいでしょうか。樋口さんには優しく扉を空けてもらったような感じです。今やっている仕事も大事にしないといけないし、(子役時代のことも)お話をしていかないといけない。
春田:女房は都合がつかないのですが、息子と初めて一緒に見るつもりです。緊張しています。
(取材・文/平辻哲也)
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
【推しの子】 The Final Act NEW
【忖度なし本音レビュー】原作ガチファン&原作未見が観たら…想像以上の“観るべき良作”だった――!
提供:東映
物語が超・面白い! NEW
大物マフィアが左遷され、独自に犯罪組織を設立…どうなる!? 年末年始にオススメ“大絶品”
提供:Paramount+
外道の歌 NEW
強姦、児童虐待殺人、一家洗脳殺人…地上波では絶対に流せない“狂刺激作”【鑑賞は自己責任で】
提供:DMM TV
全「ロード・オブ・ザ・リング」ファン必見の超重要作 NEW
【伝説的一作】ファン大歓喜、大興奮、大満足――あれもこれも登場し、感動すら覚える極上体験
提供:ワーナー・ブラザース映画
ライオン・キング ムファサ
【全世界史上最高ヒット“エンタメの王”】この“超実写”は何がすごい? 魂揺さぶる究極映画体験!
提供:ディズニー
ハンパない中毒性の刺激作
【人生の楽しみが一個、増えた】ほかでは絶対に味わえない“尖った映画”…期間限定で公開中
提供:ローソンエンタテインメント
【衝撃】映画を500円で観る“裏ワザ”
【知って得する】「2000円は高い」というあなただけに…“超安くなる裏ワザ”こっそり教えます
提供:KDDI
モアナと伝説の海2
【モアナが歴代No.1の人が観てきた】神曲揃いで超刺さった!!超オススメだからぜひ、ぜひ観て!!
提供:ディズニー
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。