三浦透子×井之脇海で描く“魂の旅” 越川道夫監督作「月子」8月26日公開
2017年7月7日 06:00
[映画.com ニュース] 満島ひかり主演作「海辺の生と死」のメガホンをとった越川道夫監督の長編映画第3作「月子」が8月26日から公開されることが決定。あわせて、ダブル主演を務める三浦透子と井之脇海、越川監督のコメントと劇中カットを、映画.comが入手した。
本作は、越川監督が「永い言い訳」「誰も知らない」「海よりもまだ深く」の撮影を務めた名カメラマン・山崎裕とタッグを組み、スタッフ10人以下という少人数編成でつくり上げたロードムービー。父を亡くし、生き場所を失った青年・タイチ(井之脇)は、施設から逃げ出してきた知的障がいを持つ少女・月子(三浦)と出会う。月子を連れ戻そうとする人々を振り切り、彼女を親元まで送ることにするが、生家へと通じる唯一の手掛かりは「海の音の聞こえる場所」ということだけ。タイチと月子は“島の声”に導かれるように、目的地へと歩みを進める。
松居大悟監督作「私たちのハァハァ」に出演し、若手実力派女優として高い評価を得る三浦は「月子にだけ光って見えるものや、お気に入りの音、触りたいと思うものや、されて嫌なこと。全部知りたくて、話を聞きにいったり、本を読んだりしましたが、私にできたことは、必死にからだを動かすだけでした」と知的障がいのある月子の役づくりに苦労した様子。「できなかったことを考えるときりがないけれど、月子もこんな風に世界と触れ合っていたのかなと思える瞬間もたくさんあって、そのすべてに思い出があります」と撮影を述懐している。
本作は昨年9月26日、青梅市・沢井でクランクイン。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」、 NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」への出演で注目を集める井之脇は「台本を読んでいるだけではわからなかった、撮影場所の自然にとても助けられました」という。「きっと、タイチも、そこにある全てが心の拠り所だったんだと思います。なので、僕も自然と同じ様に、タイチとしてそこに在ることを心がけました。感情に嘘をつかないよう、月子を見守り続けました」と話すと、ひと足先に見た本編について「ドキュメンタリーかと錯覚するほど生々しいモノが映されていて、登場人物全員がその瞬間を生きていて、愛おしかったです」と感想を述べている。
昨秋の撮影時期には「胸が苦しくなるような事件があって、そのことばかり考えていたかもしれません」と明かした越川監督は「日常を過ごしていく中で感じてきた様々な割り切れぬ思いが、この映画には込められています」と告白。「もしかすると僕の思いは悲観的なものに傾いていたかもしれません」と胸中を吐露しつつも「その悲観的な思いを三浦透子と井之脇海は、若さとその演技で変えていきました。『月子』は、悲観を越え、小さな生を肯定する映画として完成したのです」と仕上がりに自信をにじませている。
「月子」は、8月26日から東京・新宿K's cinemaほか全国で順次公開。
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