ジブリの意志継ぐ「メアリと魔女の花」、宮崎駿らの反応は?米林宏昌監督が明かす
2017年6月22日 20:30

[映画.com ニュース] 米林宏昌監督がスタジオジブリ退社後に初めて手掛けた長編アニメーション映画「メアリと魔女の花」のスペシャルトークイベントが6月22日、東京・六本木ヒルズアリーナで行われた。米林監督、プロデューサーの西村義明氏らが登壇し、今作に対する宮崎駿らの反応について語った。
「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」で知られる米林監督の最新作で、同じくジブリ出身の西村プロデューサーが設立したスタジオポノックによる第1回長編作品。2014年12月にジブリを退社して以後、「何も(拠り所が)なく、喫茶店をめぐりながら脚本を練っていたところから」製作は始まった。ついに完成を迎え、米林監督は「西村さんに、『思い出のマーニー』とは真逆の、動くファンタジーを作りたいと言い、今日までやってきました。こういう場に立てたことが夢のようです」と感慨深げだ。

西村氏も「僕らは、ジブリが大好きでジブリに入った。自分たちがジブリのすごさを一番良くわかっている。ジブリが30年間でつくりあげたクオリティを、僕らはゼロから再構築しなければならなかった」としたうえで、「お客さんに価値のあるアニメをと、1日1日もがいていたことが一番苦しかったです」と思いを馳せる。続けて、プロデュースした「かぐや姫の物語」(2013)を引き合いに「『かぐや姫』では公開延期という騒ぎを起こしてしまいまして。今作のスケジュールが遅れた時に、スタッフから『公開を延ばせられないか』と言われた。完成してよかった」と苦笑していた。
製作発表時には、宮崎駿をはじめ、高畑勲、鈴木敏夫というジブリの大御所から「覚悟を持って挑め」と発破をかけられていた。「完成した作品に対する3人の感想は」と問われると、西村氏は「0号試写の翌日、完成した映画を持って行き、高畑さんと鈴木さんに見てもらいました」と述べ、「鈴木さんからは『ジブリの呪縛から解き放たれると、お前らもこういう映画を作るのか。素直にノビノビ、良い映画を作ったね』と感想をいただきました。高畑さんはそもそもファンタジーが嫌いなので、一番緊張しましたが、『好感を持てました』と。『でも私が好感を持てると、この映画の成功は危ういのでは』とも言っていただきました(笑)」と振り返った。

話を引き継いだ米林監督は、「宮崎さんには見てもらえませんでした。『俺は見ない』って」と明かす。それでも「ねぎらいの言葉はもらった」そうで、「『よく頑張った』と。完成が遅れに遅れていたもので、『本当にできるのか、どうなんだ』と心配してもらっていましたから、無事完成したと報告できました」と感無量の面持ちを浮かべていた。
最後に、「ジブリで学んだことを活かしていきたかった」と切り出した西村氏。「ジブリは、面白いだけでなく“今、作る意味があるもの”を作る集団でした。それを忘れてはいけないと現場で共有していた」と敬意をにじませ、「米林監督の勝負の作品は、ジブリのフタが外れ、やりたいことを全部詰め込めている。『ジブリ人生のすべてを費やす』と明言していましたが、その結果は作品に出ています」と自信をみなぎらせていた。
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