ナチスに抵抗した平凡な夫婦の実話「ヒトラーへの285枚の葉書」予告独占入手
2017年5月15日 12:00
[映画.com ニュース] ペンと葉書を使ってヒトラー政権に抵抗した平凡な夫婦の実話を映画化したバンサン・ペレーズ監督作「ヒトラーへの285枚の葉書」の予告編を、映画.comが独占入手した。ヒトラー政権下の不穏な空気のなか、政府に異議を唱えることがどれだけ危険だったかを想像させる緊迫感あふれるサスペンスや、お互いの愛情と敬意を再確認する切ない夫婦愛が盛り込まれている。
ドイツ人作家ハンス・ファラダが、実際に起きた“ハンペル事件”をもとに書き上げ、第二次世界大戦終結後の1947年に刊行された小説「ベルリンに一人死す」を映画化。「インドシナ」で大女優カトリーヌ・ドヌーブ、「王妃マルゴ」でイザベル・アジャーニの相手役を務め、カルラ・ブルーニ(現在はニコラ・サルコジ前フランス大統領の妻)らと浮名を流した、90年代フランス映画界きってのフェロモン俳優・ペレーズが長編3作目のメガホンをとり、オスカー女優のエマ・トンプソン、「ハリー・ポッター」シリーズのブレンダン・グリーソン、「グッバイ、レーニン!」のダニエル・ブリュールが共演している。
フランスがドイツに降伏した1940年6月、ベルリンの古めかしいアパートで暮らすオットー(グリーソン)&アンナ(トンプソン)夫妻のもとに、最愛のひとり息子ハンスが戦死したことを知らせる一通の封書が届く。心のよりどころを失った夫婦は悲しみのどん底に沈むが、ペンを握り締めたオットーは「総統(ヒトラー)は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」と怒りをポストカードにぶつけ、それをアンナとともに街中にこっそりと置く、ささやかな活動を繰り返すようになる。2人は魂の解放と充足感を得るが、秘密警察ゲシュタポのエッシェリヒ警部(ブリュール)による猛捜査が、夫婦に迫りつつあった。
さらに原作者ファラダが1932年に刊行した長編小説「Kleiner Mann, was nun?」が、「どうする小市民(仮題)」として6月下旬に発売されることが決定。不況にあえぐ当時のヒトラー政権下で大ヒットし、34年には米ハリウッドでも映画化されたもうひとつの代表作だ。またファラダは、わずか4週間足らずで600ページ以上に及ぶ大著「ベルリンに一人死す」を執筆し、完成直後の47年2月5日に死去している。
「ヒトラーへの285枚の葉書」は、7月8日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次公開。
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