グッバイ、レーニン!
劇場公開日 2004年2月21日
解説
自国ドイツのアカデミー賞では9部門受賞、昨年の世界各地の映画祭でも話題を独占した感動コメディ。舞台は東ベルリン。アレックスの母親が心臓発作で昏睡状態に陥っている間にベルリンの壁が崩壊して社会が激変。母親は8カ月後に意識を取り戻すが、今度ショックを受けたら命が危ない。そこでアレックスは、母親になんとかベルリンの壁崩壊や社会の変化を隠そうと奮闘していく。音楽は「アメリ」のヤン・ティルセン。
2003年製作/121分/ドイツ
原題:Good Bye Lenin!
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
スタッフ・キャスト
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最高の親孝行だと思う。
とことん嘘をつけ続けるのは、母親のため。
途中できっと気づいているのだと思うが、それを言わないのもまた良いと思う
2022年4月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ー 東西ドイツが統合された事は、前年に起きたベルリンの壁を叩き壊す人々の姿を捉えた映像と共に良く覚えている。
そして、東西ドイツ統合という名の下、実際には旧東ドイツに西側の民主主義文化が流入し、今作に描かれているように、一部の旧東ドイツの人々が財産、職を失った事も、後年学んだ。-
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・今作は、東西ドイツの統合を背景とした、家族の愛の物語であると思う。
特に息子アレックス(ダニエル・ブリュール:若いなあ・・。)が、夫ローベルトの西ドイツ亡命により、東ドイツ愛国心を強めた母に対する想いである。
ー アレックスが反社会主義デモに参加し警官と衝突した光景を見て、心臓発作で倒れた母のために、彼が母の死まで懸命に行った事が、コミカル要素を絡めつつ上手く描かれている。-
・母は昏睡状態で八カ月を過ごすが奇跡的に目覚める。だが、その間に東西ドイツは統一されていた。
ー 母の病室から見えるコカ・コーラの大きな広告。ヘリで吊り下げられ運ばれる上半身だけのレーニン像。バーガーキングで働き始めた姉。(そして、西ドイツに亡命した父の姿を見る。)
当時のドイツの世の変化に対する人々の戸惑いを、具体的事象を画の中に取り込むことで実に上手く表現している。-
・東ドイツが健在であることを、母に示すため紛争するアレックスの姿がオカシクも切ない。
ー アレックスの友人で、映画監督を目指す若き男が、半ズボンで上着だけ背広の姿で東ドイツのニュースを作りTV放映するシーン・・。実に良い奴である。友人に加えたい・・。-
・母が二度目の心臓発作を起こした時に、アレックスが父に会いに行くシーン。
冒頭で東ドイツ時代ソユーズ31号でドイツ人として初めて宇宙に行った事でヒーローになった、ジークムント・イェーンが統一後タクシードライバーになっていて、彼を父の家に送っていったり・・。
そして、久しぶりに会った父と母は一時間以上も話し込む。
ー ジークムント・イェーン、宇宙飛行士よりも、タクシー運転手の時の方が格好良いし、良い事言ってます・・。ー
<今作では、母が子供たちに夫ローベルトが西側に亡命したという”嘘”を隠し通し、更に”東ドイツはもうない・・、”という事を薄々知りつつも、息子の”優しい嘘”を信じるフリをしている事がコミカル要素を塗しながら、描かれている。今作は、真の家族愛を描いた作品であると私は思う。>
数年前、
東大に留学中のドイツ人青年に会った事があった。
記憶の中の彼は、この主役のダニエル君っぽい顔をしていて
帰り際に席を立った時に驚くほど背が普通(日本の平均男子くらい)で、自分で覚えたての日本語で「みかけだおし」と言って笑ったのだった。
彼の両親はまったくこの東西ドイツ時代の東側の人であり
彼自身がこの中の主役になってもいい、まさにその世代の人物だった。
彼の英語と私のかなりレベルの低い英語力とでは、東西ドイツの話など出来る訳もなく 甚だ残念だった。
ただ彼の両親が彼が日本の大学に行くとなった時に
本当に考えられない奇跡のようだと語ったという事はわかった。
収束はまだか。
もちろんウクライナの話。
ロシアのウクライナ侵攻という信じられないくらい20世紀的な出来事が進行中の今思えば
あの東西ドイツ対立の終息は奇跡だったとしか考えられない。
1989年11月
事実上の東西往来自由化と取れる発言をきっかけに国民によってベルリンの壁が崩壊。
1990年8月
東西ドイツ統一
同9月
東ドイツがワルシャワ機構脱退
そしてドイツとしてNATO残留が決定。
これらはソビエトがゴルバチョフの時代だったからかなえる事が出来たのだというのは、今のプーチン氏の所業見ても明らか。
その後ゴルバチョフ氏の引退とともにソビエト社会主義共和国連邦は終わりを告げ ロシアの時代へ。
冷戦は終結し、世界は平和へまた一歩近づいたとばかり思っていた呑気な20世紀末、、、と思ったのも束の間
2001年
21世紀に入って速攻で911テロ
アラブ諸国とユダヤ系アメリカの過酷な小競り合いが開始
ISILは事実上の壊滅状態にあるとは言えまだまだ油断ならない。
だが 今の日本にとって脅威は
ロシアと中国。
アメリカが まったく介入しない事が明白になりウクライナのゼレンスキー氏は孤軍奮闘。
経済制裁のみにとどまるしかない世界を横目に日々悲惨な映像がネットを賑わす中、日本は自国の防衛は自国でという意見が確実に増えているように思う。
せめて
せめてこのウクライナ侵攻よりは前に見たい映画だった。
2022年4月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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ベルリンの壁崩壊はそんなに大昔のことではないんだと改めて思ってしまった。
歴史的瞬間をテレビで観ていたはずなのに、心に響いていなかったなんて…残念である。
子供の頃のアレックスとお姉ちゃんがとにかく可愛らしい。
父親が家を出た後の母親に抱きつくシーンは胸が熱くなる。
お姉ちゃんはケバい風貌になったけど、アレックスは素直な青年に。
ソ連から来ていたララ。とても可愛らしい。当時の東ドイツとソ連の結びつきの強さを感じる。
周りの人達がとにかく温かいのだ。
アレックスの同僚(笑える)、お姉ちゃんの彼氏、ご近所さんも、みんなアレックスの「嘘」になんだかんだ協力してくれる。
想像するだけでも面白いのだが、必死に「東」のピクルスの空き瓶を探したり、大量の瓶を並べ中身を手慣れた感じで移し替えたり、わざわざフェイクニュースを収録したりと、悲喜交々のシーンが楽しめる。
ベルリンの壁崩壊でどんな風に生活が変わったのか。
東西の格差が随所に描かれていて興味深い。
余談(2022春)…
現在のロシアでは国がかりで国民に「嘘」をついているらしい。国民をも欺くロシアという国(ていうか、プーチンだが)に対しては震えるほど怒りを感じる。
ロシア、嘘と聞いてこの作品を思い浮かべる人も少なくないのではないかな。この作品は切ないコメディではあるけれど。
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