池松壮亮&石井裕也監督、沈黙恐れぬ“大型新人”石橋静河に苦笑
2017年5月13日 15:00
[映画.com ニュース] 石井裕也監督が最果タヒ氏の詩集をもとにした「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」が5月13日、東京・新宿ピカデリーで先行公開され、石井監督をはじめ、ダブル主演の石橋静河と池松壮亮が舞台挨拶に立った。
石井監督が脚本も手がけた本作は、最果氏の同名詩集の世界観をもとに、都会の片隅で孤独を抱えて生きる現代の若い男女の繊細な恋愛模様を描き出す。2017年の東京を舞台に、看護師として働く傍ら、夜はガールズバーに勤務する美香(石橋)と、死の気配を常に感じている日雇い労働者の慎二(池松)が偶然出会い、心を通わせていく。
俳優の石橋凌と女優の原田美枝子の次女であり、本作で映画初主演を飾った石橋は「面白かった監督とのエピソード」を問われると、「難しいな……」と戸惑い、無言で頭を抱える。場内が沈黙に包まれると「このままだと30分くらいかかっちゃう」と吐露し、再び沈黙。数10秒間に渡り会場が静まり返ったが、隣の池松と石井監督はあえてフォローをせず、笑いをこらえるばかり。ようやく次の質問に移ると、ついにこらえきれなくなった石井監督が「すごい沈黙でしたね」「やっぱり新人女優ですよ。大型新人ですか(笑)」とツッコミを入れていた。
沈黙を恐れぬ“大物ぶり”を発揮した石橋。現場ではそのフレッシュさが大きな武器になったそうで、石井監督は「実力という意味でいえば池松壮亮という天才の足元にも及ばないが、新人ということが圧倒的な魅力。人生に一度きりしかない、新人であるがゆえの奇跡を起こしてくれたんじゃないでしょうか」と明かした。
一方の石橋は、「つねに監督と戦っているような感じ」と撮影を述懐。多くの試練を乗り越えた本作を「ずっと心のなかにある、忘れたくても、ある意味忘れられない。始まりだなと思います」と感慨深げに振り返った。「苦しかったし、たくさんの人に迷惑をかけた。でも、この映画に救われたので、届くといいなと思います」と呼びかけた。
そんな石橋を支え、「ぼくたちの家族」「バンクーバーの朝日」に続き石井組に参加した池松は「いろんな恋愛映画が作られていますが、どこにも属さない希有な作品ができたと思っています。今をどう生きるか、人と人はどうつながっていくか、そういうものを映画を通して探し、答えを見つけることができたと思っています。他のどのメディアでもできない、人間賛歌になったと信じております」と熱く語った。
「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」は5月27日から全国で公開。