「羊たちの沈黙」ジョナサン・デミ監督が死去 ホプキンス、フォスターらが追悼
2017年4月27日 17:00
[映画.com ニュース] 傑作サイコサスペンス「羊たちの沈黙」で知られるジョナサン・デミ監督が4月26日(現地時間)、食道がんに伴う合併症のため米ニューヨーク・マンハッタンの自宅で死去した。享年73歳だった。同作に主演したアンソニー・ホプキンスとジョディ・フォスターをはじめ、ハリウッドの名監督、俳優たちが追悼のコメントを寄せている。
1944年、ニューヨーク州出身。フロリダ大学卒業後、エンバシー・ピクチャーズの宣伝部勤務。69年に渡英し、ロジャー・コーマンのニュー・ワールド・ピクチャーズに雇われ、初監督作「女刑務所・白昼の暴動」(74)をはじめ低予算映画の量産に携わる。同スタジオを離れた後、監督・脚本家として映画だけでなくテレビでも活動し、「羊たちの沈黙」ではアカデミー賞作品賞、監督賞を含む5部門を受賞。その後も「フィラデルフィア」や「レイチェルの結婚」といった名作を生み出し、音楽ドキュメンタリーやテレビシリーズなどでも冴えわたる演出力をみせた。
米エンターテインメント・ウィークリー誌によれば、希代の悪役ハンニバル・レクター役でアカデミー賞主演男優賞を受けたホプキンスは、「ジョナサンは最高で、本当に好人物で、素晴らしいスピリットを持っていた」と追悼。同作でFBI捜査官クラリス・スターリングを演じオスカーに輝いたフォスターも、「友人であり、恩師でもある方を失い、打ちひしがれています。ハリケーンでもなければ抑えられないほどの活力に満ちた非凡な人でした」と故人を偲んだ。
デミ監督を発掘したコーマン監督は、「ジョナサン・デミとは40年以上も友人だった。彼のフィルムメーカーとしての素晴らしさを超えるものは、彼の人間としての素晴らしさだけだ」とツイートし、同じく門下生だったマーティン・スコセッシ監督やロン・ハワード監督も故人の人柄を称えた。
その他、「フィラデルフィア」の主演俳優トム・ハンクス、「幸せをつかむ歌」に主演したメリル・ストリープ、「メルビンとハワード」のメアリー・スティーンバージェン、ドキュメンタリー映画「Justin Timberlake + the Tennessee Kids」でコラボした歌手のジャスティン・ティンバーレイクらが、感謝と哀悼の意を表明。今年2月の第89回アカデミー賞作品賞を受賞した「ムーンライト」のバリー・ジェンキンス監督や、カルト的人気を博したテレビシリーズ「ハンニバル」のクリエイター、ブライアン・フラー、人気作家スティーブン・キングら、多くの業界人たちが追悼のコメントをTwitterに投稿している。