マット・デイモン「グレートウォール」は「映画文化において初めての製作方法」
2017年4月7日 17:00
総製作費約150億円を投じ、万里の長城を舞台に、戦士たちと60年に1度復活する人類の敵が死闘を繰り広げるさまを描く本作。デイモンに加え、「インファナル・アフェア」3部作のアンディ・ラウ、ハリウッド版「デスノート」で死神の声を担当するウィレム・デフォー、「キングコング 髑髏島の巨神」が公開中のジン・ティエン、人気K-POPアイドルグループ「EXO」の元メンバー、ルハンら国際色豊かなキャストが結集した。
デイモンは本作で、旅の途中で万里の長城を訪れることになる弓の名手ウィリアムに扮し、「ジェイソン・ボーン」シリーズとはひと味違った流麗なアクションを披露している。「自分の言葉で説明するとしたら、怪物が登場する壮大な歴史ファンタジー、といったところかな。僕がこれまで出演した映画で最も壮大な作品だ」と6カ月に及んだという本作のスケール感あふれる撮影について語る。「現場に立っているときに、これほどまでに壮大なスケールでの国際協力の下で作られた映画はない、と噛みしめることができた。100年の歴史を持つ映画文化において初めての製作方法だね。クルーの半数は中国人、アメリカ人は数人ほどいて、あと半数は主にヨーロッパ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどから来ていて、本当に国際的なクルーだった。100人ぐらいの通訳が現場を走り回っていて、お互いに意思疎通がきちんとできているかサポートしてくれていたんだ」。
デイモンの言葉の端々からはどれほどビッグバジェットの作品だったかがうかがえるが、デイモンは映画史上まれに見る大人数を束ねたチャン・イーモウ監督への敬意を隠さない。「出演を決めた1番の理由は監督のチャン・イーモウだった。長い間、イーモウ監督との仕事を熱望していたんだ。イーモウ監督の作品で、いつか僕が演じられる役が回って来ないものか、ずっと願っていた。とにかくスケールの大きな作品で、あこがれのイーモウ監督がこれほどまでに大きなキャンバスに絵を描くことを見逃すわけにはいかないと思ったのさ。彼は巨大スペクタクルの巨匠だ。大勢の群衆を演出するとしたらイーモウ監督の右に出る者はいないと思う。今作では、群衆の動きを生でカメラに収めて、その後に怪物登場のシーンはCGIで加工した。とても綿密な戦闘シーンをステージングしていたよ。イーモウ監督は頭に描いた絵を再現するという大きな挑戦に全力投球して、素晴らしい結果を残した」。
「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」でベン・アフレックと共にアカデミー賞脚本賞に輝き、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(5月13日公開)では製作を務めるなど、俳優としてだけでなく多方面に手腕を発揮するデイモン。「イーモウ監督との仕事はとにかく充実していた。僕が提案するどのアイデアにもちゃんと耳を傾けてくれたんだ」と語り、大いに刺激を受けたようだ。「これまでにも、ありがたくも多くの巨匠と仕事をしてきたことがあるけど、どの巨匠にも通じる共通点として、とても謙虚な人たちだということを感じた。そして、とてもオープンな心で周囲の意見に耳を傾ける。共同作業を重んじる。準備万端であり、ビジョンがはっきりとしている。きちんとした計画を持っていながら、よいアイデアが入ってくると計画を変更する柔軟性も持ち合わせている。周囲からアイデアがあふれ出るような環境作りをして、アイデアにきちんと反応するんだ」と充実感をにじませた。
「グレートウォール」は、4月14日から全国公開。