オスカーノミネートはサバイバル訓練の成果?ビゴ・モーテンセンが役作りを明かす
2017年2月25日 10:00

[映画.com ニュース] 「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのアラゴルン役で知られるビゴ・モーテンセンが第89回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートを果たしたロードムービー「はじまりへの旅」の特別映像が、公開された。モーテンセンや、本作で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞に輝いたマット・ロス監督のインタビューと本編映像、メイキング映像で構成されている。
世間と切り離されたアメリカ北西部の森で自給自足生活を送るベン・キャッシュ(モーテンセン)と6人の子どもたち。ベンの厳格な教育と訓練によって、子どもたちは6カ国語を操る頭脳とアスリート並みの体力を備えていたが、コーラもホットドッグも知らない世間知らずな人間となっていた。そんなある日、入院中の母が死去したと知ったキャッシュ家は、葬儀に参加するために2400キロ離れたニューメキシコへと旅立つ。
俳優としても映画「アメリカン・サイコ」や「アビエイター」、ドラマ「アメリカン・ホラー・ストーリー」などに出演するロス監督は「現代のアメリカで子どもをどう育てるべきか、親としての私自身の悩みが作品の原点だ」と明かす。本作では、文明社会に触れた子どもたちとベンが衝突するなかで、自分たちらしさを模索していくさまが作品の核になっているが「子育てとは何か、親のあり方とは何か。それを描いた作品だ。常識からかけ離れた一家の暮らしは果たして愚かなのか。それとも愚かしいほど最高なのか?」と作品の真意を語っている。
一方のモーテンセンは「役作りのためアイダホ州北部で生活し、撮影前に2週間サバイバル生活の訓練をした。火おこしや煮炊きや庭仕事など劇中でも実際にやっている」とベン同様のライフスタイルに身を浸し、役を消化していったという。「この映画は僕にとって特別な作品だ。考えさせられる場面もあり、笑える場面もある。初めて台本を読んだときの僕のように、観客にも笑って泣いて、楽しんでほしい」とほほ笑む。国際プレスアカデミー(IPA)が主催する第21回サテライト賞では、「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリング、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のケイシー・アフレック、「スノーデン」のジョセフ・ゴードン=レビットら芸達者がひしめくなか、「ハクソー・リッジ」のアンドリュー・ガーフィールドと共に主演男優賞に輝いた。
映像では、モーテンセンが子どもたちを思うあまり行き過ぎた行動に出る父親の不器用な愛を体現。また、ベンと妻の父親ジャク(フランク・ランジェラ)が子どもたちへの教育方針をめぐって激しく対立するさまや、長男ボウドヴァン(ジョージ・マッケイ)が旅の道中で知り合った女性にプロポーズするなど、重要シーンも収録されている。
「はじまりへの旅」は、4月1日から全国公開。
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