映らなくても一晩中演技し続けた!「未来を花束にして」監督、メリル・ストリープの姿勢に感激
2017年1月26日 14:45
[映画.com ニュース]「ドライヴ」のキャリー・マリガン、「英国王のスピーチ」のヘレナ・ボナム・カーター、「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」のメリル・ストリープら実力派が顔をそろえた「未来を花束にして」を手がけたサラ・ガブロン監督が、舞台裏を語った。
実話を基に、1910年代の英国で参政権を得るために戦った女性たちの生きざまを描く本作。洗濯工場で働くモード(マリガン)は、女性参政権運動を展開するWSPU(女性社会政治同盟)のメンバーと交流し始めたことから人生を見つめなおし、過酷な戦いに身を投じていく。夫のサニー(ベン・ウィショー)から家を追い出され、工場を解雇され、さらには投獄されても信念を貫く勇敢な女性をマリガンが熱演。WSPUのリーダー、エメリンを演じたストリープ、“実行隊長”イーディスに扮したカーター、モードの同僚バイオレット役のアンヌ=マリー・ダフらが熟練の演技で物語に厚みをもたらしている。
ガブロン監督は「こんなにも時代を先取りしていた女性たちがいたことに、私たちは衝撃を受けた。彼女たちは当時の社会のタブーや因習をすべて打ち破っていた。そしてそのことについて、私たちはほとんど何も知らなかったことに気づいたの」と製作を決めた理由を語る。「サフラジェット(女性の参政権を求める活動家たちの総称)たちは電線の切断や、郵便ポスト、家屋の爆破などを行い、刑務所へ送られると、劣悪な状況との闘争に注目を集めるためハンガーストライキ(断食によるストライキ)を行った。こんなにパワフルな物語がこれまで語られなかったことに驚いたわ。そして女性の映画製作チームである私たちは、この話に夢中になった」。
映画では、モードたちが警察に暴力を振るわれ、投獄されてからも強制食餌(当事者の意思に関係なく食事させること。映画では、刑務所でハンガーストライキを行う活動家たちに対して行われる)を行使されるなど、政府が女性たちに行った非人道的な仕打ちに対しても真正面から描いている。そうした製作陣の熱意に、ストリープをはじめとする俳優たちも呼応。ガブロン監督は「メリル(・ストリープ)の撮影は2日間の予定だったけれど、彼女は3日目も撮影現場に現れた。エメリンの演説を聴衆が聞く場面で、メリルは自分もそこにいるべきだと感じたの。メリルは一晩中、オフカメラで演説を続け、聴衆はその声に反応することができた。そのことだけでも、メリルが製作チームやこの作品にどれだけ寛大だったかがわかるわ」とストリープの意志が感じられるエピソードを明かした。
本作ではまた、商業映画史上初めて、英国の国会議事堂での撮影を行っている。「初めての映画撮影クルーとして敷地内に入り、数百人ものアーティストや馬、スタントと一緒に、中央の中庭で大きな暴動を再現した。この場所で実際に起きた歴史の瞬間を再現していると思うと、特別な感情がこみ上げてきたわ」と振り返ったガウロン監督は「様式化されたものでなく、リアルなものを作りたかった。現代の人にも理屈抜きで通じる作品にしたかった。見た目は現代風であっても、すべて当時を反映したものよ」と手ごたえをにじませた。
「未来を花束にして」は、1月27日から全国公開。
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