ホセ・ルイス・ゲリン、「ミューズ・アカデミー」は「絶対的に自由な精神でできた作品」
2017年1月6日 19:30

[映画.com ニュース]「シルビアのいる街で」のホセ・ルイス・ゲリン監督の新作「ミューズ・アカデミー」が、1月7日公開する。バルセロナ大学の哲学科を舞台に、実在するイタリア人教授ラファエロ・ピント教授が、ダンテの「神曲」における女神の役割をきっかけに、現代におけるミューズ(女神)像を探る講義を行なう様を、フィクションとドキュメンタリーの境目をあいまいに描いた作品だ。来日したゲリン監督に話を聞いた。
もともと映画の企画があったわけではなく、ピント教授と生徒たちの招待により、カメラを回し始めたという。「このクラスを映画的実験に使いたいと言われ、私にとってはそれがゲームのように面白そうに感じました。言葉の実験をしたいと思ったのです。ですので、自分が小さいカメラを持ち、録音技師だけ連れて教室へ通ったのです。撮影していく中で、人間関係の対立や合意が見えてきたのです。その密度が濃くなってきたときに、これは映画になると初めて確信したのです」
高尚な文学や芸術を語る講義を繰り広げるピント教授。受講生らと繰り広げられる議論は実際の講義の様子を思わせるが、やがて物語は登場人物たちの私生活にも迫っていく。「依頼を受け、納期が決まっている状態では決して作れなかった作品です。これは絶対的に自由な精神でできた作品なのです。それは書くという行為と同じくらいに自由でした」と述懐する。
「プロではない人たちとの相互作用で出来上がった作品です。私がフィクションとして設定した部分もありますが、想像を超えて映画として成長していった。私自身はほとんど介入せず、観察していればよかっただけなのです。彼らに対して大きな信頼を置いていましたから。フィクションではありますが、彼女たちが感じた痛みや怒りは本物です。それはカメラが捉えていますし、映画はうそを許さないのです。議論がエスカレートしすぎると、カメラを外した方がよいのか自問自答することもありました」と撮影を振り返った。
監督にとってのミューズは?と問うと「いつもいます。でも私はピント教授よりも現代的で、女性からだけではなく、モノや風景、空気からもインスピレーションを受けることができるのです」とほほ笑んだ。
今作上映期間中には、処女作「ベルタのモチーフ」など長編7作品のほか短編4作品を上映する特集上映「ミューズとゲリン」も開催される。2012年の「ホセ・ルイス・ゲリン映画祭」以来の来日となった。「日本の観客には私の映画を深く理解してもらえてうれしく思います。日本は自分にとってとても重要な場所だと思っています。日本には想像力が充満しています。私が理想化しているのかもしれませんが、そのことが私に生きる力を与えてくれるのです」
「ミューズ・アカデミー」は17年1月7~29日、東京都写真美術館ホールで3週間限定上映後、全国で順次公開。特集上映「ミューズとゲリン」も、同館にて同時開催。
(C)P.C. GUERIN & ORFEO FILMS
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