大友啓史監督「3月のライオン」神木隆之介に太鼓判「『桐島』以上のハマリ役」
2016年11月17日 12:00

[映画.com ニュース]神木隆之介が主演し、羽海野チカ氏の人気漫画を2部作で実写映画化する「3月のライオン」の撮影現場が、このほど報道陣に公開され、メガホンをとった大友啓史監督(「るろうに剣心」「ミュージアム」など)が取材に応じた。原作ファンの間では、主演発表当時から「神木のビジュアルがぴったり」と評判だったが、大友監督も「『桐島、部活やめるってよ』以上のハマリ役なのではないかと思います」と手応えをにじませた。
物語は、幼いころに家族を亡くした将棋のプロ棋士・桐山零(神木)が、東京の下町に住む川本三姉妹やライバル棋士たちと心を通わせ、切磋琢磨し合うなかで成長する姿を描く。大友監督は、「役が神木くんのキャリアとハマるのではと思った」と話したうえで、神木と零の共通点を「零くんは中学生でもプロで、神木くんは中学生に入る前から俳優としてプロでした」と指摘する。
「誤解を恐れず言うと、『るろうに剣心』のときに(神木は)『フィクションの申し子』だということを痛感しました。呼吸をするように芝居をしていて、演じることで救われたり、何かを託してきたんじゃないかと思う瞬間が結構あって。そういう彼が(零を)演じて重なり合うことで、『フィクションの申し子』の実の顔がどこかでのぞけないかなという思いがあり、撮影しています。ルックが近いということだけではなく、彼自身と桐山零くんのプロフィールとが重なります」。
この日の撮影は、前編のクライマックスとなる獅子王戦の大盤解説。奨励会の同期かつライバル同士である島田開(佐々木蔵之介)と宗谷冬司(加瀬亮)の対局を、零と現役最年長の棋士・柳原朔太郎(斉木しげる)がモニターで見守りながら解説する。神木には、駒の動きから島田と宗谷の揺れ動く感情を読み取る、という演技が要求される。ロケは、実際の名人戦1回戦とその大盤解説でも使用される東京・文京区の椿山荘で行われ、観覧者役のエキストラ約200人を投入した。
作品の肝である将棋シーンのリアリティのため、俳優陣は努力を惜しまない。神木も毎日駒を持ち歩き、暇を見つけては将棋指導の棋士たちと対局していたそうだ。中学生でプロ棋士になった天才という役どころなだけに、将棋の腕前を磨くことは役作りに欠かせない工程。この日は、局面の解説をめぐり、大盤の前で棋士たちと入念に意見交換する姿も見られた。大友監督は、「キーは将棋であるのでとても練習をしてくれて、プロとしてもおかしくないと棋士の先生もおっしゃるくらい、打つ手やたたずまいなど違和感なくやっている。相変わらず神木隆之介は面白くて、すごくて、刺激的ですね」と充実の様子で称賛した。
今作で注力している点は、人生をかけて将棋盤に向き合う男たちのドラマだという。「将棋盤を挟んで、大の男が向き合って人生背負ってやっています。そこを原作は描いています。人生背負って小さな盤の上で2人が向き合うことは、潔くて面白いなと思い、潔さを素直に撮ろうという気になってきて、あまり余計なことをしなくていいかなと思った」と語り、「物語のクライマックスは、将棋のなかのいくつかあるレベルの戦いになるのですが、撮っていても起承転結やクライマックスが分からない。なので、そこを妙に引き上げて映画的な枠にはめ、ある語り口にしていくのはつまらないのではないか、という気がしています。とりあえずニュートラルに撮るだけ撮って、後で考えようと思います」と笑った。
映画「3月のライオン 前編」は2017年3月18日、「3月のライオン 後編」は17年4月22日に公開。
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