66歳・辺見マリ、壮絶体験を経て“人間の値打ち”を発見「代償を払ったが愛を得た」
2016年10月5日 17:00

[映画.com ニュース] イタリアのアカデミー賞に当たるダビッド・ディ・ドナテッロ賞で、最優秀作品賞など7部門を制した「人間の値打ち」の試写会イベントが10月4日、東京・イタリア文化会館で開催され、歌手・女優の辺見マリが作品の魅力を語った。
クリスマスイブの前夜に起こったひき逃げ事件を発端に、経済的格差のある3つの家族の関係性が変容していくさまを複数の視点で描くサスペンス。不動産業を営むディーノ(ファブリッツィオ・ベンティボリオ)と、女子高に通う娘のセレーナ(マティルデ・ジョリ)、セレーナの恋人の母カルラ(バレリア・ブルーニ・テデスキ)それぞれの目線で一連の出来事が語られると共に、3人が抱える“秘密”、さらに事件の意外な真相が明らかになっていく。
本作を3回鑑賞したという辺見は「極上のサスペンス。見るたびに発見がある。頭のいい方が構成なさっている。人の持っているドロドロ感というか欲望というか、深さや大きさはそれぞれでも誰もが持っているもの。普通に暮らせるってすごいことだなって(笑)」と感想を語った。さらに「プロローグの赤のダウンジャケットと自転車のランプに始まり、決めどころに赤が使われている」と“通”な見方を披露し、「ぜひもう1回見てほしい。また違う方向から見られるんじゃないか」と客席に呼びかけた。
劇中でディーノは投資ファンドに手を出し、深みにはまっていく。辺見自身はバラエティ番組などで、詐欺にあい5億円を失った壮絶体験を明かして話題を集めたが「お金というのは恐ろしい。さまざまな人と出会って、お金の価値や人が変わっていくのを経験した。自分の尺度を持っていないと、色々なことに巻き込まれる」と重みのある言葉で振り返る。だが同時に「みんなが私を待っていてくれた。絆、愛を感じました。すごく大きな代償を払いましたが、愛を得られた」とも。そのような経験を経たからか、映画についても「ためになりました」としみじみ語った。
イベント終盤には、翌日に66歳の誕生日を控える辺見に花束が贈られ「しくじってしまったのに、色々な人に支えられているんだな」としんみりしつつも、「正直に生きてきた自分をほめてあげたい。これからも踏ん張ります!」と高らかに宣言した。
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