椎名誠、行きつけの居酒屋でビール片手に“ほろ酔い”映画談議
2016年9月4日 18:00

[映画.com ニュース] 映画監督、作家、写真家、編集者として多岐にわたって活躍する椎名誠が、CS映画専門チャンネル「ムービープラス」で放送中のオリジナル番組「この映画が観たい」に出演。行きつけだという東京・新宿の居酒屋で番組収録を行い、ビール片手に人生エピソードを交えた“ほろ酔い”映画談議に花を咲かせた。
椎名が紹介するのは、「アラビアのロレンス」(1962)、「飛べ!フェニックス」(65)、「ロング・グッドバイ」(73)といった男臭い活劇に加えて、ウィットに富んだモノクロ映画「ぼくの伯父さんの休暇」(53)、黒澤明の名を世界に知らしめた「羅生門」(50)というラインナップ。子どもの頃からの映画ファンだけに、「この5本に絞るまでに迷いました。過酷でしたよ」と作品選びに苦労したそうだ。
アカデミー賞7冠に輝く名作「アラビアのロレンス」は、「見れば見るほど発見がある。何度見てもいい映画」だといい、当時ブームだったシネラマや70ミリといった大型映画の魅力を熱弁。砂漠に不時着した男たちのサバイバルを描く「飛べ!フェニックス」には、「生きるためには戦わなければいけない。そんなメッセージが琴線を刺激した」とほれぼれした表情を浮かべる。
ハリウッドの異端児であったロバート・アルトマンがハードボイルド小説を映画化した「ロング・グッドバイ」には、「映画の魅力が揃った傑作」「小説家も嫉妬するほどのうまさ。クリエーターなら刺激されるはず」と称賛を惜しまない。キャメラワークに関心をもつきっかけになった作品でもあり、「それと大酒飲みの小説家が出てくるでしょ。身につまされますよ」と笑いを誘う場面もあった。
「喜劇だけど、エスプリが利いたさりげない笑い。僕もこういう映画を作りたかったけど、日本人にはできないね」と嫉妬を覚えた「ぼくの伯父さんの休暇」。数ある黒澤作品の中でもベストだと推す「羅生門」は、「不信をテーマに、人間の醜さやエゴを描き、娯楽的にも奥深い作品」であり、撮影を手がけた宮川一夫の手腕にも敬意を示した。
収録では「将来何をやったらいいか分からず、人生に戸惑いがあった」青春時代や、ライフワークである旅がもたらす異文化との出会いや創作へのインスピレーション、モンゴルで撮影した監督作「白い馬」(95)の秘話なども語っている。
「この映画が観たい椎名誠のオールタイム・ベスト」は、9月5日午後11時からムービープラスで初回放送予定。
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