AKIRA&岩田剛典、拳と魂で語り合った2人が振り返る「HiGH&LOW THE MOVIE」
2016年7月17日 06:00
[映画.com ニュース] 「コブラと向き合うシーンでね、テストを含めて何度も撮っていて、しかもカメラに映らない角度なんです。それでも岩ちゃんを見たら、全力で泣いてくれているんですよ」――AKIRAは嬉しそうに振り返る。「HiGH&LOW THE MOVIE」クライマックスのシーンのことだ。岩田剛典は「もう一度やれって言われても、二度とやれないですけどね(笑)」と照れくささを隠すように返す。拳で、魂で語り合った2人は口を揃えて言う。「このメンバーだからできたシーンだなって思います」。(取材・文・写真/黒豆直樹)
AKIRAは、プロジェクトがはっきりとした形となる以前の初期段階で、HIROから構想を聞かされ、熱く語り合ってきたメンバーのひとりだ。「以前から『こんなことやってみたい!』なんて話で盛り上がるところから始まっていて、熱くなるとスタッフさんを呼んだりして、“男祭り”な話し合いでした(笑)。それが徐々に形になって驚きもあったし、ワクワクもしました。実際にドラマができて、映画が完成して…感慨深いものがあります」。
岩田も、AKIRA同様に「『会議をします』って感じじゃなく、食事や飲みの席でいろんな話をHIROさんから聞かされてきました」と明かす。「急に『コブラって、この先どうなっていくと思う? 何がやりたい?』って聞かれたり(笑)。常に僕自身が現在進行形でコブラという役を成長させていくことを要求されたし、そのための意見を僕の方から発信することも求められるという、いままでにない作品への関わり方ができた特殊な現場でした。その意味で、夢を広げ、生き物のように作品自体も変化していくという点で、『HiGH&LOW』がやっていることは、まさにEXILEがこれまで、そしていまもやり続けていることそのものなんだと思います」。
琥珀とコブラは、かつてSWORD地区を支配していた、チーム“ムゲン”のメンバー。琥珀は創設メンバーで、コブラは後輩にあたる。EXILEにおける、AKIRAと岩田の関係にも重なって見えるが、改めて普段の2人の関係について尋ねるとAKIRAは岩田を「“Mr.EXILE”」と評し、こんな言葉を続ける。
「一緒に踊って、飯食って、酒飲んで……。EXILE以前のダンスにおけるルーツや、スタイルを含め、通ってきた道が近いというか、共通点もいっぱいある。岩ちゃんは世間的には“さわやかな王子様”というイメージがあるかもしれないけど(笑)、じゃあなぜ、この『HiGH&LOW』という男くさいプロジェクトのど真ん中に彼がいるのか? やっぱり、岩ちゃんの本質にそういう要素があるからだと思う。“王子キャラ”と言われようと、芯の部分では男くさくて、グループのため、仲間のために費やす熱量も半端じゃなく、熱いものが燃えたぎっている。世間で思われている以上に、EXILEの血が濃い男だなって思います」。
「光栄です」――岩田は嬉しそうに笑みを浮かべ、AKIRAという存在の大きさについてこう語る。「僕にとってはダンサーとして、デビュー前から勝手に憧れてきた存在だし、EXILEにあって、お芝居の道を切り開いた先駆者。HIROさんがプロデューサーに徹しているいま、現場におけるリーダーであり、僕らはその背中を見ながら『付いていきます!』という思いでいます。こういう形で共演させていただくことを目標としてやってきたので、またひとつ夢を叶えさせてもらいました」。
そんな2人と、ムゲンのメンバーで琥珀を支える九十九役の青柳翔、コブラの幼なじみで山王連合会のメンバーであるヤマトを演じた鈴木伸之の2人を加えた4人による壮絶な戦いが、映画版のクライマックス。並外れた身体能力の高さを誇る男たちが、アクションの派手さや観客への見せ方といったテクニックを超えて、魂をむき出しにして、激しくぶつかり合う。4日間を要したこのシーンの撮影を、AKIRAは感慨深げに振り返る。
「気心の知れた仲間だからこそ、その環境に甘えるのではなく現場ではストイックにいようと思いましたし、良い意味でただひたすら作品のためにというスタンスで臨めた。言葉はなくとも意思の疎通はできていたし、この4人じゃなきゃ生まれない空気があった」。岩田も「栄養ドリンク何本飲んだか…」と苦笑しつつ、充実感を漂わせながら過酷な撮影を述懐する。「本当に感情を全てさらけ出して、いま思い出しても言葉に詰まりそうなくらいで。頭の中の血管の1~2本、切れたんじゃないかって(笑)」。
EXILE(=放浪者、彷徨)という名にふさわしい、さすらい続ける男たちの魂が、このクライマックスの果てにどこに向かうのか? その行き着く先を見届けてほしい。
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