アヌシーアニメ映画祭 注目の日本アニメと勢いを増すフレンチアニメ
2016年7月3日 12:00

[映画.com ニュース] 毎年6月に開催されるアヌシー国際アニメーション映画祭。今年はフランスにフォーカスしたスペシャルプログラムが組まれたため、オランド大統領と文化・通信相のオドレイ・アズレが視察に訪れるなど、まさに国を挙げてのイベントとなった。というのも、世界に対するフランス映画の新たなイメージを担っているのがアニメ作品と言えるほど、いまフレンチアニメは勢いがあるからだ。
映画祭期間中にユニフランス(フランス映画のプロモーションを目的とする仏文化・通信相の非営利外郭団体)が発表したリポートによると、昨年はフレンチアニメの海外での興行が過去最高を記録した。フランス国外でもっともヒットしたフランス映画ベスト10のうち、アニメが3作を占め(「リトルプリンス 星の王子さまと私」「アステリクス Le domaine des dieux」「Mune, Le gardien de la lune」)、トップの「リトルプリンス」は、60カ国で1800万人の動員を集めたという。
今年のアヌシーの長編コンペ部門の受賞もフランスが独占した。最高賞のクリスタル賞と観客賞をダブル受賞したのは、これが初長編のクロード・バラによる「Ma vie de Courgette」。審査員賞にはセバスチャン・ロダンバックの「La jeune filles sans mains」が輝いた。
「Ma vie de Courgette」は、今年のカンヌ映画祭の監督週間部門で披露され、すでに高い評価を得ている。フランスで2014年にヒットした「Bande de filles」や、「トムボーイ」で知られるセリーヌ・シアマ監督が脚本を担当したことでも話題に。母親を亡くし孤児院に入った少年の物語は、ストーリーテリングの力と緻密なストップモーションアニメによる豊かな表現力で、独創的なアニメに仕上がった。
もっとも、アヌシーでは昨年に引き続き日本のアニメも注目を集めた。今年は長編コンペこそ入選がなかったものの、短編部門に山村浩ニの「サティの『パラード』」と折笠良の「水準原点」、アウトオブコンペに河村友宏と小森啓裕の「GAMBA ガンバと仲間たち」と長井龍雪の「心が叫びたがってるんだ。」、さらに学生部門やテレビ、CM部門も合わせると10本の新作が並んだ。また野外上映では細田守の「バケモノの子」、スペシャル・プログラムで深田晃司の「ざくろ屋敷」、特別上映として山本暎一が1973年に制作した「哀しみのベラドンナ」と、カンヌで話題になったばかりのスタジオジブリ初の海外合作映画「レッドタートル ある島の物語」が上映された。
このうち「哀しみのベラドンナ」は4Kの修復版であり、フランスの配給会社により一般の劇場でリバイバル上映が始まったところだ。もともと成人アニメとして作られているだけに、中世のフランスを舞台にヒロインが野蛮な領主や悪魔に犯されるというハードな内容であるものの、フランスでは12歳未満鑑賞禁止という緩い枠に。国内21館、パリでは1館という小規模な公開ながら、初日はパリで1館あたりの動員パフォーマンスが同日封切り作品のなかで最高を記録した。わたしも公開6日目の平日夕方、劇場に足を運んでみたが、約9割の入りで、子供は見当たらなかった。これは日本のアニメ人気という以上に、あらかじめ内容を把握した上で熱心な関心を寄せて集まった観客層ということだろう。
それにしても、今見るとあらためて当時の日本のアニメの大胆さ、自由度に驚かされる。アニメ版ロマンポルノと言えるようなエロティシズムに加え、グラスペインティングや水彩画による静止画を用いた独特の手法により、どこを切りとってもアート作品としての高いクオリティを保っているのが素晴らしい。佐藤允彦による70年代らしいサイケデリックな音楽が作風にぴったりと寄り添い、今見ても(今見ると更に)ラジカルな異彩を放つ。
一方、カンヌのある視点部門で特別賞を受賞し、「カンヌで見るべき5本のなかの1作」(リベラシオン紙)、「ピュアで禅的な傑作」(フィガロ紙)などと絶賛された「レッドタートル」は、今月29日にフランスの公開を控える。スタジオジブリが初めて海外の作家をプロデュースする作品で、監督は、前作「岸辺のふたり」がアカデミー賞短編アニメーション映画賞を受賞したオランダ出身のマイケル・デュドク・ドゥ・ビット。ジブリはフランスでも多くの固定ファンを持つだけに、どこまで数字が伸びるか、期待して見守りたい。(佐藤久理子)

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