オスカー監督イニャリトゥ、「レヴェナント」は5年をかけた自身の夢
2016年4月15日 18:00
[映画.com ニュース] 第88回アカデミー賞で監督賞、主演男優賞、撮影賞の3冠に輝いた「レヴェナント 蘇えりし者」の特別映像が、公開された。メガホンをとったアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の仕事ぶりに迫る内容になっている。
イニャリトゥ監督は「このプロジェクトは5年をかけた私の夢だった。映画だからこそ、今までにないものが作れた」と自信を見せる。本作はカナダやアルゼンチンで約9カ月にわたってロケ撮影が行われたが「観客を圧倒する要素のうち、大部分を占めるのは壮大な景色だ。だから特別な景観を求めた。手つかずの誰も見たことのない自然だ。自然がキャラクターのひとつとして、(主人公の)グラス(レオナルド・ディカプリオ)を包んだり、変えたり、守ったり、おびやかしたりする」とこだわりを語っている。
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014)で称賛された長回しがイニャリトゥ監督の持ち味のひとつだが、本作ではさらに自然光のみでの撮影にチャレンジ。日照時間に頼るため、1日に1時間半ほどしか撮影できず、さらに撮り直しも難しい状況下だったという。「やりがいがあって楽しい撮影だったが、よいものを手にするには時間がかかった。我々は特定の趣と雰囲気を維持したかったから、忍耐強く追求しなければならなかったんだ。特定の状況を作るという意味では、グラスの役どころと同様に“罠を仕掛ける猟師”になったのだ」。
映像では、身振り手振りを交え、情熱的にシーンの説明をする撮影時のイニャリトゥ監督の姿もとらえられている。本作でオスカーを手にしたディカプリオは「映画作りにおいて、アレハンドロ(・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)は真の天才だ。決して妥協しない。(彼のように)超大作を安心して任せられる監督はほとんどいない。彼が描いたのは、苛酷な環境を生き抜く人の精神力の強さと美しさだ」と最敬礼。エマニュエル・ルベツキ撮影監督、プロダクション・デザイナーのジャック・フィスクも口々にイニャリトゥ監督を称賛している。「アレハンドロは他の監督と違って、わずかなセリフで印象的な映像を作る」(ルベツキ)、「本作がユニークなのは、アレハンドロが芸術家だからだ」(フィスク)。
「レヴェナント 蘇えりし者」は、狩猟中に熊に襲われてひん死の重傷を負ったハンターのグラスが、隊のメンバー、ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に殺害された息子の無念を晴らすべく、苛酷な自然環境の中で生き抜こうともがくさまをダイナミックな映像で描く。坂本龍一が音楽を手がけた。4月22日から全国公開。
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