今井雅之さん原作「手をつないでかえろうよ」に藤田朋子、別所哲也らが出演
2016年3月4日 17:00
[映画.com ニュース] 2015年5月28日に死去した俳優・今井雅之さんが原作・脚本・主演を務めた舞台を、川平慈英の主演で映画化する「手をつないでかえろうよ シャングリラの向こうで」の主要キャスト陣が、このほど発表された。吉田敦、藤田朋子、別所哲也ら、今井さんと親交の深かった俳優陣が出演を果たす。
俳優養成機関「アップス」を設立し、今井さんをはじめ川平、藤田、別所らを世に送り出した奈良橋陽子が監督を務める。さらにモデル・女優として幅広く活躍するすみれ、「アウターマン」(15)で銀幕デビューした七海のほか、勝矢、板尾創路、LiLicoが共演している。
軽度の知的障害を持つ男性・真人(川平)は、同じく障害を抱える女性・咲楽(七海)と出会い、やがて結婚。しかし真人は咲楽を守るために犯罪に手を染めてしまい、自分探しの旅に出発する。道中で麗子(すみれ)という女性と行動をともにするようになった真人は、自身の数奇な人生を回想していく。
映画版でも真人役を演じることに意欲を燃やしていた今井さんだが、病状が快方に向かわず、多くの人々に惜しまれながらこの世を去った。今作の製作決定時には、「『なぜ戦争が起きるのか?』『なぜ宗教、人種、国が違うだけで同じ人聞が殺し合うのか?』。これが(今井さんの代表作)『The Winds of God』の活動を通じて感じたことでした。そして、その思いを表現したのが『手をつないでかえろうよ』です。お芝居としては本来なら“普通の恋愛”を描くべきなのでしようが、私は使命のようなものを感じ、この舞台の脚本を書き下ろし、そして映画化まで、なんとかこぎつけました」とコメントを寄せていた。
そんな今井さんの魂を体現する川平は、「実の兄のような存在だった雅之の遺志を継いで、この作品に参加できたことを誇りに思います」と感無量の胸中を明かす。そして、「雅之の眼差しを感じながらの撮影でした。ぜひ多くの皆さんに見て頂けたらと思います」と語った。
「The Winds of God」などで今井さんとタッグを組んできた奈良橋監督は、「(昨年)3月の終わりに雅之と桜のシーンだけ撮影しました。主演の子役の場面だった。雅之は大きくなったときの演技をして、子役に見せていました。涙ぐんで喜んでいたのを覚えています」と振り返る。さらに、「雅之が主演の予定でしたが、病状の悪化によってやむなく慈英を呼びました。4月ごろでした。慈英は以心伝心で汲み取って、うなずいてくれました。雅之にとって慈英は兄弟みたいだったし、雅之が喜ぶんじゃないかと思ったし、喜んでくれていると思います」と川平の起用理由を説明している。
また、演劇仲間として切磋琢磨しあった別所は、「ガンと戦いながら表現者たる雅之が文字通り命を懸けて仕上げたこのモノガタリに参加できて、同じ青春時代を英語劇で過ごした仲間として僕は幸せ者です。光栄です」と感慨深げ。藤田も、「声をかけてもらえて本当に嬉しかったです。雅さんのおかげで、撮影中は懐かしい仲間と懐かしい空気の中にいました。雅さんも一緒に居た気がします」とメッセージを送っている。
映画「手をつないでかえろうよ シャングリラの向こうで」は、今井さんの1周忌にあたる今年5月28日に公開。
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