安田顕&麻生久美子、相思相愛の2人が語る「俳優 亀岡拓次」の“味わい”
2016年1月29日 12:00
大作から自主映画まで、オファーがある限りどんな役でも駆けつけ、監督から重宝される脇役俳優・亀岡拓次(安田)。物語は、亀岡がロケ先で出会った飲み屋の女将・安曇(麻生)に恋心を抱く姿や、世界的な巨匠からオーディションの声がかかり、亀岡の俳優人生に大きな転機が訪れるさまを描く。
「映画 ビリギャル」「新宿スワン」「ラブ&ピース」「グラスホッパー」など、昨年公開の映画に絞っても話題作に次々と出演してきた2人だが、意外にも本格的な共演は今回が初めて。実力派の両者に、俳優としての互いの印象を聞いた。「麻生さんは21世紀のグレイス・ケリーのようです。内面の品とか清楚(せいそ)さが、ご本人は気づかれてないかもしれないけど出ているんです。麻生さんといると、『この時間が終わってほしくない』と思う。ひきつけられる素敵な役者さんです」(安田)。劇中では、亀岡と安曇は基本的に飲み屋のカウンター越しに会話するが、安田は「(ドキドキしちゃうから)カウンター越しに話すのがちょうどいい」とはにかんだ。
対する麻生は、亀岡ともシンクロする安田の芸風の広さを指摘。「安田さんは、見た作品ごとに印象が変わるカメレオン俳優。クレジットでお名前を確認しないとわからないくらい。役とご本人にもギャップがありますよね。その才能がうらやましい」。安田の明るいキャラクターに触れ「現場ではぼそぼそと話す印象だったのに」と笑う麻生は、亀岡と安曇が踊るシーンを挙げ「ダンスがとっても楽しかった」と振り返った。
「『主役(のオファー)が来ていますよ』と言われた瞬間に(かぶせ気味に)『やります』と答えました」と満を持しての挑戦だったと語る安田にとって、「ウルトラミラクルラブストーリー」(2009)以来約6年ぶりの長編となる横浜聡子監督の独特な世界観や演出には大いに刺激を受けながらも、「全編を通してわからないセリフがあった」と当初は戸惑いがあったと明かす。
そんななか、横浜監督のある演出が役を理解するきっかけになった。「染谷将太君(演じる若手監督)とのやり取りで、『アドリブでやってください』『はい』と答えるシーンがあるのですが、そこを間髪入れずにやってくださいと(横浜監督に指示された)。『亀岡さんは動物です。何考えているかわかんないんです』と言われて。そのシーンのときに『あ、亀岡(のキャラクター)ってこれなんだ』と思いましたね」。
一方、ミュージックビデオも含めれば横浜監督と3度目のタッグとなる麻生は、本作での監督の変化として「おしゃれ」をキーワードに挙げる。「ビジュアル含めて、ポップだなと思いました。シーンの切り替わりなどもテンポがよくて見やすい。脚本だと渋い印象があったので、こんなおしゃれに仕上げるんだなと意外でした。皆さん見やすいでしょうし、私は好みでした」。麻生の言葉に同調した安田は「横浜監督は、こちらの予想の半歩先を行く。もっと色々な作品を撮っていただきたいですし、日本映画界を代表される監督になるはず」とすっかり魅了されていた。
「俳優 亀岡拓次」は、作家・戌井昭人氏の小説を映画化。宇野祥平、新井浩文、浅香航大、杉田かおる、工藤夕貴、三田佳子、山崎努らが脇を固める。1月30日から全国公開。