アントン・コービンが語るD・デハーン&R・パティンソン共演「ディーン」完成までの道のり
2015年12月11日 17:00

[映画.com ニュース]24歳の若さでこの世を去った稀代のスター、ジェームズ・ディーン。さまざまな著名人を見つめてきた写真家、デニス・ストック。偶然出会ったふたりは、ぶつかり合いながらも互いの才能にひかれていく。ディーンが死去する直前の旅路を通じ、天才ふたりの絆を描いた映画「ディーン、君がいた瞬間(とき)」。メガホンをとった写真家アントン・コービンが来日し、映画完成までの道のりから作品づくりへの情熱を明かした。
「エデンの東」で主演を飾ったディーンは、わずか4年という短いキャリアでこの世を去った。本作は、そんな伝説的カリスマの内面とそれをとらえようとしたストックに焦点を当てており、通常の伝記映画とは一線を画している。「ジェームズ・ディーンの伝記はつくりたくないと思いました。興味があったのは、カメラマンから見たもの、その視点でした」「誰かとの出会いが人の人生にどれだけ影響を与えるかということを描きたかったのです。この映画で扱った話は非常に小さい話ですが、多くの人に影響を与えている出来事なのです」
U2やデペッシュ・モード、デビッド・ボウイらミュージシャンから役者まで多くのスターを写してきたコービン。同じ写真家として見るストックの作品には「今回、彼の人生を調べて非常に感心しました。ポートレイト写真は顔しかわかりませんが、彼はドキュメンタリー的なアプローチをしていたので、時代を感じることができるのです」とフォトジャーナリストとしての魂を感じた。劇中では、実際にストックが残した写真と同じ構図で、ディーン役のデイン・デハーン、ストック役のロバート・パティンソンが向き合うカットがいくつも盛り込まれている。

危うさ、儚さ、脆さ――デハーンは綿密なリサーチを重ねることでディーン像を構築し、当時の彼を直接知る人物からお墨つきを得るまでに完成させた。「デインはとてもアカデミックなアプローチをする役者なうえ、ジェームズ・ディーンは彼にとってのヒーローなので、ものすごく大変だったと思います。誰もが知っている映画の中でのジェームズ・ディーンと、本当のジェームズ・ディーンとの違いは難しいですが、この映画ではそこを描いていて、デインはよくやってくれました」と太鼓判を押す。
さらに、3カ月で11キロ以上増量するなど肉体改造を行い、細身の“シックボーイ”姿を封印。「すごくスリムなので、特別な食事で太らせました。50年代のスターは、腹筋が6つに割れているのではなく、お百姓さんの息子という体つきだったので、それを作るため頑張っていました。耳たぶもなかったので、毎日付け耳たぶもしていましたね。残りのギャップは、彼の演技の才能で埋めていきました」。そもそも、なぜデハーンをディーン役に選んだのだろうか。
「ジェームズ・ディーンの映画を見ながら演技の勉強をしたというくらい、デイン・デハーンにとってジェームズ・ディーンはヒーローなんです。だから、失敗するのではという思いから恐怖もあったでしょうし、ディーンは多くの人々のヒーローでもあるので、最初僕に会いたがらなかったんです(笑)。でもそれを乗り越えた後、デインはフィリップ・シーモア・ホフマンのように役の奥まで入り込み、どんな役でも『この人なんだ』と信じられる役者だと感じたので、彼に決めました」
デハーンとともに核となったパティンソンには、「(「トワイライト」シリーズでの成功のあと)役者としての才能を証明しなければいけないと思っている」と感じた。「デニス・ストックという人物は、この作品の中ではカメラマンとしての才能を証明したがっている人物なので、考え方が似ていると思いました。また、パティンソンはチャームさだけでなくある種の苦悶、苦闘も抱えており、当時のストックが持っていたものと同じだと思ったのです」と重ね合わせた。
「ディーン、君がいた瞬間(とき)」は、12月12日から全国で公開。
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