O・アサイヤス監督、クリステン・スチュワートは「映画的な知性を持っている女優」
2015年10月23日 10:00
[映画.com ニュース]フランスの名匠オリビエ・アサイヤス監督の新作で、ジュリエット・ビノシュ、クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツという豪華女優が共演した「アクトレス 女たちの舞台」が公開する。大女優マリアの孤独と葛藤を描いた作品で、マリアのマネージャー役を演じたスチュワートが本作で、米国人初となる仏セザール賞助演女優賞を受賞した。ハリウッド大作から作家性の強い作品まで様々な監督からラブコールを受けるスチュワートの魅力、そして、女優たちへの演出についてアサイヤス監督が語った。
有能なマネージャーのバレンティーヌと二人三脚で日々の仕事をこなすベテラン女優マリアは、自分が女優として成功するきっかけとなった作品のリメイクへの出演依頼を受ける。しかし、マリアに与えられたのはかつて自分が演じた若き美女シグリッド役ではなく、彼女の中年の上司ヘレナ役だった。やがてマリアは、ハリウッドで活躍する若手女優ジョアンがシグリッド役に配役されていることを知る。
マリア役のビノシュを念頭に置いて脚本を執筆し、ほかの2人については段階的に決まっていった。「この作品はかなり女優に依存している作品です。セリフも多いし、演劇の戯曲のように出演者によって完全に色合いが変わる可能性があります。正しい女優を選択することが一番難しいことでしたが、結果的にはとても成功したと思います」と自信を見せる。
大女優のマネージャーというショウビス界の裏方役を演じ、本作で新境地を開いたともいえるスチュワート。アサイヤス監督の次回作にも出演が決まっている。「アメリカの彼女の世代の女優の中で、最も興味深い存在です。例外的な才能と例外的な映画的な知性を持っている女優です。しかも、カメラ映りがよく、稀有な存在感がある」と評する。スチュワートが出演したすべての作品を見たそうで「イントゥ・ザ・ワイルド」でその才能に注目したと話す。「小さな役ですが、本当に自然で珍しいほど本物でした。また、『ランナウェイズ』での役は、ミュージシャンの持っている自然さや自発性を見つけるのは難しいことなのに、実に上手く演じていて、女性のロック歌手の良いポートレイトになっていたと思います。彼女はどのような映画においても、いちども平凡な人物だったことはありません」
過去の栄光と現在を見つめるマリアという女優の姿を通して、人生の豊かさや複雑さを描き出す。俳優の持っている力を最大限に引き出すテクニックとはどのようなものなのだろうか。
「映画の経験を積むにつれ、俳優が役を自分自身のものにして、その人物に溶け込むための空間がいかに重要なのかを理解するようになりました。俳優が役柄について立てる仮定や様々な試み、その登場人物を俳優が新たに創造をすることに対して、耳を傾けるようになったのです。かつては、あらかじめ決めたことから変化することを恐れていました。しかし、素晴らしい俳優と仕事を重ね、彼らに自由を与えることが重要だと気付きました。すなわち、映画は撮影現場で再び作りかえられ、映画の中に人生が入り込んでゆくのです。その方が、脚本を書いた時に思い描いていた映画の姿よりも、良いものになるのです」
「アクトレス 女たちの舞台」は10月24日から、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。
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