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【佐々木俊尚コラム:ドキュメンタリーの時代】「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」

2015年8月2日 07:05

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「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」の一場面
「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」の一場面
(C)Sebastiao Salgado (C)Donata Wenders (C)Sara Rangel (C)Juliano Ribeiro Salgado

[映画.com ニュース] 写真家セバスチャン・サルガド。その人生を、映画監督ヴィム・ヴェンダースが撮るという。もうそれだけで驚くほどの期待が高まってくる。

サルガドは、世界の貧困や飢餓、きびしい労働を圧倒的な迫力で描写してきた著名な社会派写真家である。そしてヴェンダースは「パリ、テキサス」「ベルリン天使の詩」などの名作で知られている。同時に、キューバの老ミュージシャンたちを世界に披露した「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」や舞踏家ピナ・バウシュを描いた「Pina」といったドキュメンタリーの傑作を手がけている。この組み合わせに、期待しないわけがない。

そういう思いで見た本作。まさにノックアウトされた。

映画の構成はさほど複雑ではない。サルガドの撮影活動の様子、数々の作品の紹介、そしてそれらの作品へのサルガドのことば、それに加えられるヴェンダースのコメントというシンプルな構成要素だ。

それなのに映像に圧倒されてしまうのは、そもそもサルガドの写真が凄すぎるからだ。ただ人々の苦しみを描いているだけではない。そこにはどんなに墜ちても決して失われない人間の最後の誇りというようなものが、くっきりと屹立している。その「誇り」が、悲しいほどにすばらしい。人はどんなに苦難にあっても、決して人間らしさを失わないのだ。

ヴェンダースも、この点についてインタビューでこう語っている。「彼の写真が美しすぎではないか、芸術的すぎではないか、という質問に対してですが、私はその評価に完全に反対です。貧困や苦しみを写真に撮るときには、ある特定の尊厳を被写体に与えなければならないと思います。のぞき見のような作品にしてはならないのです」

暗室のような場所で、ヴェンダースら撮影スタッフとサルガドは、過去の作品のすべてを時系列で見ていく。その様子が、映像にとらえられている。サルガドはとてもつらそうに、過去の取材体験について語る。

移民たち、ブラジルの露天掘りの金鉱で命を賭して働く男たち、マリの飢餓。そして怖ろしいルワンダの虐殺。この撮影を振り返って、ヴェンダースはこうも言っている。「彼にとってはとてもつらい作業だったと思います。彼を撮影している私たちでさえつらかったのですから。セバスチャンは、あたかもその場所に戻ってしまったかのようでした。彼の心の闇につながる内面的な旅に私たちは圧倒されてしまいました」

しかし本作は、「心の闇」で終わるわけではない。ルワンダの虐殺の取材を終えたサルガドは苦しみと絶望の果てに、まったく新たな世界へと踏み込んでいく。いまも地球に残る未開の土地を取材し、そこに生きるさまざまな生命、大地を撮影するプロジェクトをはじめたのだ。このGENESIS(ジェネシス)、創世と題された作品は息を飲むほどに美しい。

そして最後に彼は、故郷ブラジルの農場と森へと回帰していく。故郷の土地で起きる奇跡。ラストシーンには途方もない感動が待っている。

セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」は8月1日全国公開。

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