「インサイド・ヘッド」監督を救ったのは宮崎駿監督だった!
2015年7月17日 13:40

[映画.com ニュース] ピクサー最新作「インサイド・ヘッド」のメガホンをとったピート・ドクター監督とロニー・デル・カルメン共同監督が来日し、ピクサー流の作品づくりについて語った。
「カールじいさんの空飛ぶ家」(2009)でアカデミー賞に輝いたドクター監督は、ピクサーならではの製作スタンスを「失敗を大いに重ねてかまわないというプロセスがある」と明かす。「僕らも恐れることなく色々なストーリーを試行錯誤しながら提案していけるし、そこからどんどんいいものを作っていく。実際に製作に入る前にストーリーを作り、ストーリーのチームとエディターのチームがビデオ絵コンテのようなものを作って、仮のセリフや仮の歌を全部つけて、スタッフみんなに見せてフィードバックをもらう、という作業を何度も何度も繰り返すんです。反復の作業が(作品作りの)鍵ですね」と解説する。
デル・カルメン共同監督は、よりストーリー作りに踏み込んだ意見として、「みんなが思い入れを抱いてくれるストーリーになっているというのは、(題材が)僕らのなかの真実、あるいはパーソナルな部分から来ているからかもしれない。『インサイド・ヘッド』でいうと、ピートが娘さんを見ていて感じたことが衝動となって始まった物語であるし、だからこそ大人も子どもも共感できる。心の旅というか、道筋みたいなものが示されているから、響くんじゃないかと思います」と持論を展開する。
だが、パーソナルな部分を色濃く反映した物作りには、その分困難が付きまとうもの。ドクター監督自身、来日会見で「仕事を辞めて引っ越そうと思った」と振り返ったほど製作時には追い詰められていたというが、デル・カルメン共同監督は、「ストーリーを作っている人間が、1人の時間を持つのは重要なんです。そのなかから見えてくるものがある」と、どっしり構えていたと語る。2人のチームワークを示すエピソードだが、ドクター監督は、同時にある人物にも勇気づけられたと告白。その人物とは、スタジオジブリの宮崎駿監督。「なんとなくのアイデアがあって、そこから映画を製作していくなかで作品の最終形態が見えてくる。宮崎さんも、作品が完成した頃に、自分が作っていたのはこういう作品だったのかと驚かれるらしいんです。それを聞いて、僕たちだけじゃなかったんだってほっとしました(笑)」と、敬愛する先輩に謝意を示した。
「インサイド・ヘッド」は、11歳の少女ライリーの頭の中に暮らす、5つの感情を主人公にした冒険ファンタジー。ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、カナシミという感情が、新生活によってライリーの心に異変が生じたことをきっかけに、思わぬ騒動に巻き込まれる。7月18日から全国公開。
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