富田克也監督、娼婦が主人公の最新作「バンコクナイツ」で「歴史的背景をちゃんと描く」
2015年6月6日 19:30

[映画.com ニュース] 「サウダーヂ」の富田克也監督最新作「バンコクナイツ」の製作発表トークイベントが6月6日、東京・新宿のK's cinemaで行われた。富田監督は文化庁の新進芸術家海外研修制度により、タイ・バンコクに滞在中のためSkypeで会見。共同脚本を手がけた相澤虎之助とともに、10月からの撮影開始を宣言した。
「バンコクナイツ」は、富田監督と相澤が所属する映画製作集団「空族」が構想に10年を費やした作品で、日本人専門の売春街・タニヤ通りを舞台に、全編イサーン地方を含むタイおよびラオスロケを敢行する。前作「サウダーヂ」では、「土方、移民、ヒップホップ」が主軸だったが、富田監督は「それに引き続き、今回は『娼婦、楽園、植民地』の3本柱でやろうと思っています」と説明した。
また今作では、タニヤ通りで働く娼婦が主人公。富田監督は「ベトナム戦争時、アメリカ軍とベトナム政府が条約を結び、従軍兵士たちが遊びに行く場所をタイ、フィリピン、沖縄に作りますよという話がありました」と歴史をひも解き、「それをテーマに、数多くの映画が描いてきたお涙ちょうだいの娼婦のストーリーにとどまらず、歴史的背景をちゃんと描くというのが、今回の映画のポイント」と力強く話していた。
一方、白色テロで迫害された人々が逃げ込んだというイサーン地方について、相澤は「イサーン地方というのは、バンコクに対する抵抗のコミューンというメタファーがあります。アピチャッポン・ウィーラセタクン監督はそれを象徴的に表しますが、労働者、娼婦、バンコクに出稼ぎに来る人たちは、イサーン地方の人たちが極めて多い」と明かす。富田監督も「アピチャッポン監督が描いているのは、常にイサーン地方です」といい、「彼がなぜ描くのかと、僕たちもそういうことを考えてきた」と語った。
今作は日仏共同製作になるが、相澤は「今までのように、現地の人たちと仲良くなりキャスティングし、ともに映画を作る。そのスタイルは変わらない」「タイの仲間たちと映画製作も一緒にやるというのが、大きな目標でありテーマ。日・仏・タイというゴールデントライアングルでやっていきます」と意気込む。最後に富田監督は、「クラウドファンディングなど、資金集めもやっていきますので、ご興味ありましたら力を貸していただきたいと思います」と呼びかけていた。
「バンコクナイツ」は、2016年完成予定。
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