第34回藤本賞に「STAND BY ME ドラえもん」製作陣、続編製作に意欲
2015年6月4日 17:20
[映画.com ニュース] 生涯で277本の映画を製作した藤本真澄氏の功績を称え1981年に設立された、日本映画界で唯一プロデューサーの業績を称え表彰する「第34回藤本賞」の授賞式が6月4日、都内のホテルで行われた。
昨年630万人超を動員し、興収83.8億円の大ヒットを記録した「STAND BY ME ドラえもん」の伊藤善章、梅澤道彦、阿部秀司の3氏が栄誉を手にし、同特別賞には2部作で動員740万人を超え、興収計95.7億円を記録した「るろうに剣心 京都大火編」「るろうに剣心 伝説の最期編」の小岩井宏悦氏、同奨励賞は「百円の恋」の佐藤現氏が受賞した。
藤子・F・不二雄原作の劇場用長編アニメーションを発展させ、3DCGの最新技術を駆使して作り上げた「STAND BY ME ドラえもん」は、ファミリー層はもちろん大人の観客にも訴求した。藤子プロ社長の伊藤氏は、「6年前に企画を持ち込まれた時は断ろうと思っていたが、デビュー作『ジュブナイル』のエンドロールに“for Mr. Fujiko・F・Fujio(藤子・F・不二雄先生に捧ぐ)”と銘打った山崎貴監督が手がけるということで縁を感じ、“是非やろう!”という藤子先生の声が聞こえてきた」と企画成立の経緯を明かした。
シンエイ動画社長の梅澤氏は「テレビ朝日に在籍していた時に製作した、山崎監督の3DCGアニメ『フレンズ もののけ島のナキ』のクオリティが高かったので、このノウハウを生かして、ディズニーさんの3DCGアニメをやっつけられるような作品を日本でも作りたいと思い、それには『ドラえもん』しかないと考えた」とし、阿部氏は「当初は実写化という構想もあったが、ここまでこられたのは皆さんのおかげ。続きを作ってみたい、私自身が見てみたい」と感謝とともに続編製作の可能性にも触れた。
「るろうに剣心」は、90年代の伝説的人気コミックを、新感覚のアクションで力強い時代劇として作り上げたエンタテインメント。ワーナー・ブラザース映画の小岩井氏は、「この作品の成功は、(監督の)大友啓史という圧倒的な才能がブルドーザーのごとく道なき道を切り開き、そこを整地した場所で(主演の)佐藤健という圧倒的な身体能力と演技力を持った役者さんの力が発揮されたおかげ。このような運に恵まれたことはプロデューサーとしてありがたい」と感謝を述べた。
そして「百円の恋」は、30歳を過ぎてボクシングに挑む女性の姿を通して、人間の挫折と再生、弱さと強さを濃密に描き出したオリジナル作品。東映ビデオの佐藤氏は、「大作が並ぶ中で、低予算の作品にスポットを当ててもらったことに感謝し、頑張ってくれた関係者全員と喜びを分かち合いたい。“映画の力”を教わった作品で、これからも“映画の力”を信じて精進していきたい」と挨拶した。