大泉洋も太鼓判!「駆込み女と駆出し男」は悩める女性を前向きにする映画
2015年5月15日 13:30
[映画.com ニュース] 現代の2倍あったという江戸時代の離婚をモチーフに、人生の再出発を図ろうとする女性たちとそれを取り巻く人々を描く人情劇「駆込み女と駆出し男」(原作:井上ひさし、監督:原田眞人)に主演し、“駆け出し”の離縁調停人を演じた大泉洋がインタビューに応じた。
夫と離縁したい女性のための救済措置として、全国に2カ所だけ設けられていたという江戸幕府公認の「縁切寺」。その存在を「知らなかった」と言う大泉は、「こんなに面白いお話があったんだなあと思いますね。私も実際に鎌倉にある東慶寺(今作の舞台)に行って、色んな資料を見てきたんですが、本当だったんだと驚きました。そのルールがまた面白くて。何か自分の身に着けているものを投げ込んで、敷地内に入りさえすれば、それで駆け込み成就になるという(笑)。駆け込まれるなんていうのは、だんなにとっては不名誉なことで、当時は住んでる町自体の恥にもなるから、男は追っかけるんですってね。嫁さんがいないとなったら『東慶寺だ!』と追いかける。それで物を投げればいいっていうルールになったらしいんです」と語る。
大泉が演じるのは、駆け込み女の聞き取りを行い、離縁の便宜を図る御用宿・柏屋の居候で、戯作者に憧れる医者見習いの信次郎。離縁調停人として、夫の暴力から逃げてきた鉄練りの女・じょご(戸田恵梨香)、豪商の愛人・お吟(満島ひかり)らのサポートに励むが、この心優しいキャラクターは、腕っぷしは弱いがしゃべりならお任せという、大泉のイメージそのまま。なかでも柏屋に怒鳴り込んでくるやくざの親分(劇団☆新感線の橋本じゅん)との丁々発止のやり取りは、今作の大きな見せ場のひとつだ。
大泉は「カットは非常に細かく割っているわけですけど、それは色んなアングルをカメラ2台で撮っているからで、原田監督は絶対に途中で止めないんです。通してお芝居をするという撮り方ですから、もう本当に舞台みたいな芝居の勢いがそのまま映画に出るんですよね」と振り返る。そして、「セリフは長かったですけど、監督のセリフはすごく言いやすくて、覚えやすかったんです。だから、言ってて楽しかったですね。たくさんのセリフを早いテンポでリズムよくしゃべるってことは、私がひとつ心がけていることかもしれません。そういった意味で、私の魅力を引き出せてもらえた映画かもしれないですね」と、“大泉節”が濃厚であることを認めた。
離婚が題材でありながら、人生をリセットすることで、悩みを抱えた女性が人生の新たな一歩を踏み出す清々しさにも満ちた同作。大泉も「私の周りの女性からもものすごく評判のいい映画で、一生懸命働いていたり、育児を頑張っている人たちが見ていてすごく共感するそうです。毎日本当に頑張って生きている女性だったり、自分は今後どうしていけばいいのかな? って悩んでいる人が見れば、すごく前向きになれるみたいですね」と明かす。
そして、「だからすごい映画だなあと思うんですけど、監督は男ですからねえ。男が作って、ここまで女性の気持ちをきちんと描いている映画は珍しいんじゃないでしょうか」と評す。さらに、「男が作るとどうしても男の理想の女性を描いてしまいがちで、監督は、昔ずいぶんそれで怒られたらしいです(笑)。『大分勉強した』っておっしゃっていました。誰に叱られたかは知らないんですけど(笑)」と、原田監督の秘密まで暴露した。
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