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【「バードマン」映画ファンの疑問(3)】なぜ本作はアカデミー賞を受賞できたのか?

2015年4月17日 21:00

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「バードマン」にもたらされた予期せぬ栄光を徹底分析!
「バードマン」にもたらされた予期せぬ栄光を徹底分析!
(C)2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

[映画.com ニュース] 第87回アカデミー賞授賞式から約1カ月半の間、映画ファンたちが首を長くして待ちわびた「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」が4月10日、ついに公開を迎えた。作品賞を含む4冠を受けた傑作を見ようと、30代~40代を中心に幅広い年齢層が劇場に足を運んでいる。映画.comはこれまで、「奇跡の全編ワンカット撮影はどう実現したのか?」「なぜ字幕が黄色なのか?」という2つの疑問について掘り下げてきたが、今回はその締めくくりとして「なぜ本作はアカデミー賞を受賞できたのか?」に迫る。

その答えを「とにかく『バードマン』が常識やぶりの映画だということに尽きます」と断言するのは、二十数年にわたりアカデミー賞を追い続けているオスカーノユクエ氏。映画人口を増加させるべく、総合映画情報サイト「オスカーノユクエ」(http://oscar-no-yukue.com/)で日夜最新の映画情報を発信し続ける同氏に、本作がオスカーの栄光に輝いた理由を聞いた。

まずは、今年のアカデミー賞前哨戦を簡単に振り返ってみよう。本作とデッドヒートを繰り広げていたのは、リチャード・リンクレイター監督の「6才のボクが、大人になるまで。」。さらに、年明けに拡大公開されたクリント・イーストウッド監督の「アメリカン・スナイパー」が約9000万ドルの大ヒットスタートを切り、ガンガンと成績を伸ばして2強を脅かす勢いを見せ、ヨーロッパの映画賞や美術部門・衣装部門などに強かったウェス・アンダーソン監督の「グランド・ブダペストホテル」もあなどれない存在だった。

かつてない混戦模様で迎えた大一番のアカデミー賞。オスカーノユクエ氏は、「作品賞にノミネートされた8作品がそれぞれ1部門以上を受賞するという珍しい結果でした。史上まれに見る大激戦と言われていて、おそらく票数も僅差の勝負が繰り広げられていたのだと思います」と振り返る。そんな中で「バードマン」は作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞の4部門を制したが、「実は背負っていたハンデは大きかった」と3つのポイントをあげた。

<その1>アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督はメキシコ出身
いくら“メキシコの雄”イニャリトゥ監督といえども、昨年、同郷のアルフォンソ・キュアロン(「ゼロ・グラビティ」)が監督賞を受賞したばかりなので、敬遠される可能性が大きい。
<その2>コメディ映画である
アカデミー賞は、徹頭徹尾コメディ映画に冷たい。本作はゲラゲラ笑えるようなコメディとは毛色が違うが、ブラックユーモアをふんだんに盛り込んでいるため冷遇されてもおかしくない。
<ハンデ3>痛烈すぎるハリウッド風刺
アカデミー賞の投票権をもつ映画芸術科学アカデミー協会の会員は、映画製作の関係者たち。ハリウッドの拝金主義に対するあからさまな批判が、業界人の反感を買わないわけがない。

「このように越えなくてはならないハードルがいくつもあったので、『バードマン』の受賞は奇跡にすら感じます」というオスカーノユクエ氏。では、本作はどのようにハリウッドの常識を打ち破り、奇跡を起こしたのだろうか?

「まず、クオリティへのこだわりがすごい。この映画を語るうえで最初に話題にのぼるのが、“疑似ワンカット撮影”。最初から最後まで、あたかも途切れのないリアルタイム進行のように見せる手法は、緻密すぎる計算のうえに成立している。こんな面倒な手法、思いついても実行に移す人間はこれまで誰一人としていませんでした」

撮影監督エマニュエル・ルベツキ以外は成しえない驚異の長回しテクと、イニャリトゥ監督のチャレンジ精神と勇気と実行力は、映画という芸術をかつてない高みにまで押し上げた。しかし、いかに表現方法が革新的であろうと、それだけではオスカーには届かない。

「舌鋒鋭いハリウッド批判もなかなかの型やぶり。実名まで出してハリウッドの映画システムをコキ下ろすあたりは痛快ですが、同業者にとっては耳の痛い話だったと思います。それでもこの映画が受け入れられたのは、単なるハリウッド風刺にとどまらず、表層の名声にとらわれる人間の愚かしさを笑う厳しい視点に立ちつつも、人間の創造欲求を肯定して、すべての映画人の背中を押すかのような賛歌となっているからでしょう」

事実、本作はハリウッド外国人記者クラブ主催のゴールデングローブ賞や全米各地の主だった批評家協会賞の作品賞を逃したものの、米製作者組合賞と監督組合賞を制している。つまり、批評家ではなく、映画の作り手たちにこそ響くメッセージが、容赦のない風刺の奥に隠されていたのだ。「バードマン」にもたらされた予期せぬ栄光について、オスカーノユクエ氏はこう締めくくった。

「あらゆる点において桁違いの『バードマン』は、シンプルな話ながらもそれこそ数年に一度しか現れないタイプの映画。この映画がアカデミー賞を受賞したことは、従来の傾向からすれば驚きですが、そのあらがうことのできない魅力からすれば何の不思議もありません。この常識離れした映画にオスカー像を授与したアカデミー協会の英断に、拍手を送りたい気持ちです」

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」は、現在公開中。

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