第15回東京フィルメックス、実話を基にしたフィリピン映画「クロコダイル」に栄冠!
2014年11月29日 23:55

[映画.com ニュース] 第15回東京フィルメックスの授賞式が11月29日、東京・有楽町朝日ホールで行われ、フィリピンから出品されたフランシス・セイビヤー・パション監督による「クロコダイル」が最優秀作品賞に輝いた。コンペティション部門に日本から唯一選出された、高橋泉監督の「ダリー・マルサン」は無冠に終わった。
最優秀作品賞を受賞した「クロコダイル」は、フィリピン南部のアグサン州を舞台に、ワニに襲われた娘の遺体を探す母親の姿を描いた、実話に基づく物語。フィリピンのシネマラヤ映画祭で、最優秀作品賞をはじめ4冠を達成している。同映画祭では、パション監督の優れた直観的と観察力に加え、一貫性のあるスタイルとキャストの表現力が評価された。
最高賞を受賞したパション監督は、喜びを抑えきれない様子でキャストと製作陣をステージに呼びこみ、「信じられない」と笑顔をはじけさせた。「本当に嬉しい。思ってもみなかった。現地の文化、環境、美しさを守るという意識を持っていただけたのではないかと思います」と作品の意義を語り、「頂いた賞金の一部はモデルになったご家族と、アグサンに送らせて頂きたいと思います」と、賞金70万円の一部を寄付するとした。
また今回、中国から出品された「シャドウデイズ」がスペシャルメンションに選ばれたことから、会見では「最優秀作品賞について審査で意見が割れたのでは?」という質問があがったが、ジャ・ジャンクー審査委員長は「今年は全員一致で非常に意見がまとまりました。スペシャルメンションを出したのは、アジアで映画を作り続けている監督への激励の意味です」と説明。審査員のリチャード・ローマンドも「残念ながらとても平和に友好的に決まりました。何も楽しいネタがなくてすみません」と語り、笑いを誘った。
さらに、ジャ・ジャンクー審査委員長は「受賞発表の時というのは、審査員もドキドキする瞬間です。コンペティション部門に出品された9本の作品すべて、実にレベルの高いものでした。このコンペティション作品を見ることによって、各国の社会状況や人々をより深く知る事ができました。さらに若い監督たちのものの見方、映画の新しいスタイルを知ることができました。この東京フィルメックスが今後もアジアの新しい才能のために功績を果たしていけるように願っています」と総括した。
第15回東京フィルメックスは、有楽町朝日ホールをメイン会場に11月30日まで開催される。
▼タレンツ・トーキョーアワード:「Somewhere South of Reality」
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