伊藤英明×滝藤賢一 連続ドラマW「罪人の嘘」で刺激的な初共演

瀬々敬久監督が連続ドラマの演出に初めて挑む本作は、トラウマを背負う冷徹な弁護士の栄光と転落を描く本格的な法廷サスペンス。伊藤はあらゆる手段を講じ勝訴をもぎ取る主人公の弁護士・笠原卓也、滝藤は「金よりも情」を信条に日夜戦う庶民派弁護士の楠之瀬正志を演じ、法廷の内外で火花を散らす。人が人を裁くことによって、無実ではない犯罪者が“無罪”になってしまう矛盾は、視聴者に、そして出演者に重いテーマを突きつける。

「善悪って、時代や文化によっても変わってくるし、特に“無罪”という概念は人間が決めたものだから、永遠に解決できないテーマだと思うんですよ。それでも（視聴者に）考えてもらうことが大切だし、緊張感あふれる法廷劇に加えて、ふたりが友情のようなものを築いていくヒューマンドラマの面白さがある。犯罪者がいて、弁護士、検察、傍聴席といろんな目線で見られるのも魅力だと思いますね」（伊藤）

弁護士役に挑むふたりに、まず立ちはだかるのが膨大なセリフ量だった。特に滝藤は、本作に加えて、初主演ドラマ「俺のダンディズム」、さらにもう1本の刑事ドラマの撮影が重なるという売れっ子らしい非常事態に見舞われた。

「台本は重厚で面白いし、役柄も魅力的でとても興奮しましたね。瀬々監督が撮って、何より伊藤さんと共演できるんですから、中途半端なことはできない。もちろん、どの作品でもそういう気持ちですが、今回はやっぱりセリフの量が……。よりによって3本同時スタートで、どれもなかなか台本は来ないし」と苦笑する滝藤。それでもセリフはもちろんのこと、画面にチラッと映る被疑者ノートを自ら直筆するなど、徹底していた役作りで現場を圧倒した。

伊藤は「本当に勉強になった。滝藤さんと一緒だと、役がどんどん厚みを増していく」と最敬礼。さらに、「家でセリフ覚えなきゃって思いつつ、5メートル先にある台本をじっとにらみつけちゃう（笑）。読み出すまでが本当にイヤなんですよ。夏休みの宿題を最終日に片づけるタイプで、よく言えば『追い込まれれば、できちゃう』けど、こういうやり方は早く卒業しないと」と反省しきりだ。

一方、滝藤も「僕はやってもやっても足りないと思うタイプ。一生懸命準備して、初めて伊藤さんのスタートラインに立てるんですから！　伊藤さんがすごいのは、現場での集中力と瞬発力。僕が伊藤さんから得たものは、とても大きいですね」と伊藤の役者魂に大いに感化された様子。ドラマファンならば見逃せない両雄のタッグは、当の本人たちにとっても刺激的な体験になったようだ。

連続ドラマW「罪人の嘘」は、8月31日から毎週日曜日、全5話で放送予定。第1話は無料オンエアされる。