菅田将暉、男性キャストのみの「ロミオとジュリエット」で「不純」なロミオを熱演!
2014年8月10日 08:10
[映画.com ニュース] 映画「共喰い」や「そこのみにて光り輝く」などで、抜群の存在感を放った若手俳優・菅田将暉が、上演中の舞台「ロミオとジュリエット」のロミオ役で観客を魅了している。蜷川幸雄演出で、シェイクスピア時代と同じオールメール(男性俳優のみ)で演じられ、さらにキャパシティ300という小劇場での上演。あふれる情熱を体いっぱいにたぎらせた菅田のロミオには若いエネルギーがほとばしっている。
2010年に上演された「ロミオ&ジュリエット」に、マキューシオ役で出演した経験があるが、当時のことは「必死だったのであまり記憶がない」と明かす菅田。今回、新たな気持ちで台本に向き合ったとき、ロミオというキャラクターに「不純さを感じた」という。
「ロミオを見ていくと日に日に、単に性欲の塊って言うとアレだけど(笑)、そのへんの16歳と変わらない感覚の持ち主だなあと思えてきました。みんなロミオとジュリエットを神格化しすぎなんじゃないかな。僕は自分が『共喰い』という映画をやったときの感覚に近いものを感じているんです。あれを見た人はみんな、芥川賞っていうネームもあるし、純文学だし、難しかったんじゃないんですか? なんて、腫れ物に触るように聞いてきた。でも、僕は『全国の高校生、こうですよね』というくらいの気持ちでやっていたんです。世の中の見方って、実際やっていることと違うなあって。だから周りの先入観とか、ネームに負けたくないなというのはありますね」
蜷川幸雄も、シェイクスピア作品を大衆に向けたエンタテインメントとしてとらえている演出家だ。「蜷川さんもおっしゃっていましたが、『ロミオとジュリエット』は聞いていると下ネタだったり、お金の話、恋の話と、みんなを喜ばせる要素がいっぱいなんですよ。だってみんな、バカですよ(笑)。僕はバカが好きですし、なんだかどこか、自分に素直にバカができるやつの集まりだと思うんです。しかも殺し合うわけだから、どこかロミオも少し狂っている。若いっていうのもあるけれど。理屈じゃ説明できない感情がわく瞬間っていうのが、人間にはあるんだなって思います」
8月7日の初日を終えて、蜷川は「菅田将暉君は最高にいいですよ。若さの躍動感と台詞の明瞭さ、キレのいい身体でロミオを自分のものにした」と太鼓判。菅田も「細かい表現であったり、意識的にやっていかないといけないことはまだいっぱいありますが、ここまできたら突っ走るしかない」と清々しい表情を見せた。
NINAGAWA×SHAKESPEARE LEGEND I「ロミオとジュリエット」は8月24日まで、彩の国さいたま芸術劇場小ホールで上演中。当日券あり。